【2025種牡馬考察】サンデーTC 海外持込馬の考察① Ten Sovereigns(テンソヴリンズ)・Wootton Bassett(ウートンバセット)

種牡馬考察

はじめに

日本競馬界、そして一口馬主の世界において、新たな海外からの血統導入は常に大きな期待と興奮をもたらします。世界的に評価の高い種牡馬でありながら、日本ではまだその真価が広く知られていないサイアーの産駒に投資する機会は、まさに先見の明を示すチャンスと言えるでしょう。近年の競馬界は国際化がますます進んでおり、日本のオーナーが世界のトップクラスの遺伝資源に触れる機会も増えています。

そのような注目すべき海外種牡馬の中から、サンデーサラブレッドクラブ2025年募集馬ラインナップにその産駒が名を連ねる2頭、Ten Sovereigns(テンソヴリンズ)とWootton Bassett(ウートンバセット)に焦点を当てます。これらの種牡馬が持つ競走能力、種牡馬としての実績、そして日本競馬への適性を深く掘り下げ、皆様の出資検討の一助となることを目指します。

Ten Sovereigns(テンソヴリンズ)

現役時代の成績と評価

Ten Sovereignsは、その競走キャリアにおいて、特に2歳時の圧倒的なパフォーマンスでヨーロッパ競馬界に鮮烈な印象を残しました。アイルランドのトップトレーナー、エイダン・オブライエン厩舎に所属し、2歳時は3戦無敗という完璧な成績を収めています 。  

そのハイライトは、ニューマーケット競馬場で行われた6ハロンのG1ミドルパークステークスでの勝利です 。このレースはヨーロッパの2歳トップスプリンターが集う最高峰の舞台であり、ここでTen Sovereignsは先行集団を追走後、残り1ハロンで先頭に立つと、Jashの追撃を半馬身差で凌ぎ切り、勝負強さも見せつけました 。陣営からは「戦うことを覚えた」「闘争心が旺盛」といった評価も聞かれました 。ミドルパークステークス以前にも、デビュー戦を7馬身差で圧勝、続くG3ラウンドタワーステークスも約4馬身差で快勝しており、その非凡なスピード能力とレースセンスの高さを示していました 。  

3歳シーズンでは、クラシックディスタンスへの挑戦として英2000ギニーに出走し5着となりましたが 、その後スプリント路線に戻るとその才能を完全に開花させます。特にニューマーケット競馬場の6ハロン戦、G1ジュライカップでは、古馬や同年のコモンウェルスカップ勝ち馬Advertiseらを相手に2馬身4分の3差をつける圧巻の勝利を飾りました 。ジュライカップはヨーロッパで最も権威のあるスプリントレースの一つであり、ここでの勝利はTen Sovereignsの評価を不動のものとしました。オブライエン師は、コモンウェルスカップ(4着)ではまだスプリンターとして本格化していなかったが、ジュライカップに向けて調子を上げてきたとコメントしています 。  

総括すると、Ten Sovereignsは6ハロンの距離で特に強さを発揮したトップクラスのスプリンターであり、Timeform誌からは126という高いレーティングを与えられています 。父は同じくG1勝ちのスプリンターであるNo Nay Never 、母の父も世界的なスピード血統であるExceed And Excel という血統背景からも、そのスピード能力の高さは裏付けられています。 Ten Sovereigns自身の競走成績はスプリントに特化していましたが、父No Nay NeverはScat Daddyの産駒であり、母の父Exceed And ExcelはDanehillの産駒です。Scat Daddyからは米三冠馬Justifyが出るなど、Danehill系は言うまでもなく世界的に多様な距離で活躍馬を輩出する大サイアーラインです。このことは、Ten Sovereigns自身がスプリンターであったとしても、その血統背景にはより広い距離適性やクラシックな資質を伝える要素が含まれている可能性を示唆しています。配合される牝馬によっては、産駒が父のスピードを受け継ぎつつも、父以上の距離適性や多様性を示すことも期待できるかもしれません。これは、日本のスピードを重視しつつも適応力が求められる競馬において、興味深いポイントとなります。  

種牡馬としての海外評価、代表産駒

Ten Sovereignsは2020年にアイルランドのクールモアスタッドで種牡馬入りし、初年度の種付け料は25,000ユーロでした。その後、2024年には17,500ユーロとなっています 。特筆すべきは、2024年12月にトルコのCelikoglu Studへ移籍し、2025年シーズンから同地で供用されることが発表された点です 。  

産駒は2021年に誕生した世代が初年度産駒となり、2024年時点では3歳馬(2025年には4歳馬)が世界の競馬場で走り始めたばかりです。まだキャリアの浅い種牡馬ですが、既に注目すべき産駒が現れています。 代表産駒としては、アメリカでGIIピルグリムステークスとGIIIウィズアンティシペーションステークスを芝で勝利したZulu Kingdom (IRE) 、イギリスでG3コーンウォリスステークスを制したInquisitively (GB) などが挙げられます。これらは父の早熟性とスピード能力を産駒が受け継いでいることを示す好例と言えるでしょう。2024年12月時点で、177頭の出走産駒から81頭が勝ち上がり、6頭のステークスウィナーを輩出しています。

また、2020年シーズンにはニュージーランドのValachi Downsへシャトル供用され、種付け料20,000ニュージーランドドルでスタッドインしており、早期から国際的な展開が図られていました。  

表1: Ten Sovereigns – 主な海外活躍産駒

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馬名 (原語名)生年母馬母父主な勝ち鞍・実績活躍地域
Zulu Kingdom (IRE)2021Zindziswa (USA)Indian CharlieGII ピルグリムS、GIII ウィズアンティシペーションSアメリカ
Inquisitively (GB)2021Salve Stella (IRE)KodiacGIII コーンウォリスSイギリス

注: 今後の活躍により追記される可能性があります。

アメリカの芝重賞で活躍馬が出ている点は、ヨーロッパのスピード系種牡馬としては注目に値します。これは産駒が異なる競馬環境にも適応できる可能性を示唆しています。トルコへの移籍は、クールモアがアイルランドの非常に競争の激しい種牡馬市場における彼の商業的評価を考慮した結果か、あるいはトルコの生産者がG1勝ちの血統を導入するために積極的な投資を行った結果と考えられます。これは必ずしも彼の種牡馬能力の低下を意味するものではなく、むしろグローバルな種牡馬市場のダイナミズムを反映していると言えるでしょう。日本の一口馬主にとっては、G1勝ち種牡馬の血統でありながら、市場の「熱」がやや落ち着いたタイミングで、相対的に価値ある投資ができる可能性も秘めています。

日本での活躍産駒と適性考察

現時点では、Ten Sovereigns産駒の日本での出走数は非常に限られており、netkeibaのデータによれば目立った活躍馬はまだ現れていません 。しかし、これは産駒数が少なく、評価を下すには時期尚早であることを意味します。  

血統構成から日本競馬への適性を考察すると、父No Nay NeverはScat Daddy産駒で、自身もG1モルニ賞やG2ノーフォークステークスを制した快速馬です 。Scat Daddyの系統は早熟性とスピードで知られますが、Justifyのようなクラシックホースも輩出しており、No Nay Never自身もマイルから10ハロンで活躍したAlcohol Freeなどを出しています。母父Exceed And Excelはオーストラリアのチャンピオンスプリンターであり、世界的にもスピード馬の父として名高いDanehillの直仔です 。この配合はスピードにスピードを重ねたものであり、産駒は日本の1200mから1600mの芝レースで高い適性を示す可能性があります。日本の硬く速い馬場は、高い巡航速度と鋭い瞬発力を持つ馬に有利であり、Ten Sovereigns産駒の血統構成はこれに合致する可能性を秘めています。

懸念点としては、純粋なスピード血統は日本のクラシック路線などで主流となるスタミナ指向の血統に対して分が悪いケースも考えられますが、スプリント・マイル路線では大きな武器となるでしょう。 Ten SovereignsはNo Nay NeverとExceed And Excelを通じて凝縮されたスピードの遺伝子を提供しますが、これらのサイアーラインはScat Daddy(Storm Cat系)やDanehillといった、日本でも成功例のある世界的な主流血統に遡ります。このため、Ten Sovereigns自身は日本にとって新しい種牡馬ですが、その背景にある血統は日本の生産者にとってある程度馴染み深いものであり、配合におけるリスクをいくらか軽減する要素となるかもしれません。Ten Sovereigns産駒への投資は、早熟性とスプリント~マイル能力への期待が中心となりますが、クラシック戦線や天皇賞といったトップディスタンスでの活躍は、配合相手の牝馬の特性に大きく左右されるでしょう。  

今年の募集馬

トゥープレシャスの24

  • 募集番号: 48
  • 性別: メス
  • 総額: 5,000万円
  • 一口価格: 125万円
  • 予定厩舎: 手塚貴久

母トゥープレシャス(Too Precious)はアイルランド産の2015年生まれの鹿毛の牝馬で、父Holy Roman Emperor、母Delicate Charm(その父High Chaparral)という血統です 。競走成績は13戦4勝と堅実でした 。 母父Holy Roman EmperorはDanehill産駒で、世界各地でG1馬を輩出している非常に成功した種牡馬です。その産駒は距離適性も幅広く、香港のDesigns On RomeやオーストラリアのMongolian Khanなどが有名です。母トゥープレシャスの母の父High ChaparralはSadler’s Wells系で、英愛ダービーなどG1を複数制覇し、種牡馬としてもクラシックホースやステイヤーを多く送り出しています。  

このトゥープレシャスの24の配合(Ten Sovereigns × Too Precious)は非常に興味深いものです。父Ten Sovereignsが伝えるNo Nay Never系のスピードと、母系が持つHoly Roman Emperor(Danehill系)の万能性、そしてHigh Chaparral(Sadler’s Wells系)のスタミナという要素が組み合わさっています。この牝駒は、父からスピードと早熟性を受け継ぎつつ、母系の影響でよりバランスの取れた能力、具体的には1400mからマイル、あるいはそれ以上の距離でも対応できる可能性を秘めていると考えられます。特に、Ten Sovereignsの母父Exceed And Excel(Danehill系)と、本馬の母父Holy Roman Emperor(Danehill産駒)を通じてDanehillの血が重ねられる(4×3のインブリード)のは、成功例も多い配合パターンです。

5,000万円という価格は、日本でまだ実績のない種牡馬の牝馬としては高額ですが、これは母馬の質の高さと父Ten SovereignsのG1実績を反映したものでしょう。手塚貴久厩舎というリーディングトレーナーへの預託予定も期待の大きさを物語っています。牝馬であるため、競走引退後の繁殖牝馬としての価値も重要になりますが、G1勝ち種牡馬を父に持ち、母父も国際的な名種牡馬、祖母の父もダービー馬という血統背景は魅力的です。 この配合は、スプリント専門の父に、よりクラシックな資質を持つ母系の血を注入する試みと言えます。父のスピードに母系のクラスとスタミナが加わることで、マイル路線で高い競争力を発揮する馬が誕生するかもしれません。日本の競馬システムではマイラーが高く評価されるため、このバランスの取れた配合は非常に興味深い存在です。

Wootton Bassett(ウートンバセット)

現役時代の成績と評価

Wootton Bassettは、2010年の2歳シーズンにヨーロッパ競馬界を席巻しました。5戦無敗の成績で、その頂点に立ったのがロンシャン競馬場の1400mで行われたG1ジャンリュックラガルデール賞(当時の名称はグランクリテリウム)です 。このレースはフランスの2歳馬にとって最も重要な一戦の一つであり、ここでの勝利により、Wootton Bassettは2010年のフランス最優秀2歳牡馬に選出されました 。  

3歳時はG1レースに4度出走しましたが勝利を挙げることはできず、仏2000ギニー(プールデッセデプーラン)での5着が最高でした 。3歳時にG1タイトルを加えることはできませんでしたが、2歳時の卓越したパフォーマンスは特筆に値します。 父はIffraaj(父Zafonic、Gone West系)、母Balladonia(父Primo Dominie)という血統で 、当時の主流血統とは異なるアウトクロス的な魅力も持っていました。 Wootton Bassett自身の2歳G1制覇という実績は、その後の種牡馬としての成功を予見させるものでした。Almanzor、Al Riffa、Bucanero Fuerte、Zellie、Unquestionable、そして最近ではCamille PissarroやHenri Matisseといった産駒の多くが2歳時から高い能力を示し、中にはG1を制覇するものも出ています。これは、Wootton Bassettが一貫して自身の早熟性と2歳時のクラスを産駒に伝えていることを示唆しています。晩成型のステイヤータイプだった種牡馬とは異なり、Wootton Bassett自身の競走成績のプロフィールは、早期から高いレベルで活躍し、その後も成長を続ける馬を輩出する能力とよく合致しています。  

種牡馬としての海外評価、代表産駒

Wootton Bassettの種牡馬としてのキャリアは、まさに「成り上がり」の物語です。フランスのHaras d’Etrehamで種牡馬入りした当初の種付け料は非常に手頃で、2012年には6,000ユーロ、その後4,000ユーロまで下がった時期もあり、初年度の配合牝馬数も限られていました 。 しかし、わずか23頭の初年度産駒の中から、G1仏ダービー、G1愛チャンピオンステークス、G1英チャンピオンステークスなどを制覇しヨーロッパ年度代表馬に輝いたAlmanzorが登場したことで、その評価は一変しました。  

これを機にWootton Bassettの種付け料は急上昇し、Haras d’Etrehamでは2019年、2020年には40,000ユーロに達しました 。そして2020年、クールモアスタッドに購入され、2021年シーズンからアイルランドで供用されることになります 。アイルランドでの初年度種付け料は100,000ユーロでしたが、その後150,000ユーロ、200,000ユーロと上昇を続け、2025年シーズンには実に300,000ユーロという世界トップクラスの種付け料が設定されています。

さらに、オーストラリアへもシャトル供用されており、2025年シーズンの種付け料はオーストラリア史上最高額となる385,000オーストラリアドル(約24万6千米ドル)に設定されました 。オーストラリアではまだ産駒からステークスウィナーは出ていないものの(G1好走馬Wodetonなどは輩出)、その期待の高さが窺えます。  

Wootton Bassettの代表産駒は枚挙にいとまがありません。

  • Almanzor: ヨーロッパ年度代表馬、G1仏ダービーなどG1・3勝
  • King of Steel: G1英チャンピオンステークス優勝、英ダービー2着
  • Audarya: G1ブリーダーズカップフィリー&メアターフ、G1ジャンロマネ賞優勝
  • Al Riffa: G1愛ナショナルステークス、G1ベルリン大賞優勝
  • Bucanero Fuerte: G1フェニックスステークス優勝
  • Wooded: G1アベイユドロンシャン賞優勝(スプリンター)
  • Zellie: G1マルセルブサック賞優勝
  • Unquestionable: G1ブリーダーズカップジュヴェナイルターフ優勝  
  • Camille Pissarro & Henri Matisse: アイルランド供用後の初年度産駒から出たクラシックG1ウィナー 。 これらの産駒は牡牝を問わず、スプリントから中長距離まで、そしてヨーロッパ各国や北米でG1を勝利しており、Wootton Bassettの種牡馬としての万能性と国際的な成功を示しています。その産駒はセール市場でも非常に高い評価を得ています 。  

表2: Wootton Bassett – 主な海外G1勝ち産駒

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馬名 (原語名)生年性別母馬母父主なG1勝ち鞍活躍地域
Almanzor (FR)2013Darkova (USA)Maria’s Mon (USA)仏ダービー、愛チャンピオンS、英チャンピオンS仏・愛・英
King of Steel (USA)2020Eldacar (GB)Verglas (IRE)英チャンピオンS
Audarya (FR)2016Green Bananas (FR)Green Tune (USA)BCフィリー&メアターフ、ジャンロマネ賞米・仏
Al Riffa (FR)2020Love On My Mind (IRE)Galileo (IRE)愛ナショナルS、ベルリン大賞愛・独
Bucanero Fuerte (GB)2021Frida La Blonde (FR)Elusive City (USA)フェニックスS
Wooded (IRE)2017Frida La Blonde (FR)Elusive City (USA)アベイユドロンシャン賞
Zellie (FR)2019Sarai (GB)Nathaniel (IRE)マルセルブサック賞
Unquestionable (FR)2021Strawberry Lace (GB)Sea The Stars (IRE)BCジュヴェナイルターフ
Camille Pissarro (IRE)2022War Effort (IRE)Pivotal (GB)ジャンリュックラガルデール賞、仏ダービー
Henri Matisse (IRE)2022Gagarina (FR)Pivotal (GB)仏2000ギニー

注: 代表的なG1勝ち馬を掲載。他にも多数の重賞勝ち馬がいます。

Wootton Bassettの種牡馬としてのキャリアは、低評価から世界の頂点へと駆け上がった稀有な例です。初期には限られた数の牝馬との配合からAlmanzorのような歴史的名馬を輩出し、その後はより質の高い牝馬との配合でコンスタントにG1馬を送り出しています 。これは彼が持つ遺伝力の強さ、いわゆる「牝馬を上げる」能力の証明と言えるでしょう。オーストラリアでの記録的な種付け料設定は、彼がトップクラスの競走馬を輩出する能力に対する世界的な信頼の厚さを示しています。Wootton Bassett産駒への投資は高額になりますが、それは確かな実績に裏打ちされた「質の保証」に対する対価とも言えます。  

日本での活躍産駒と適性考察

Wootton Bassett産駒の日本での実績はまだ始まったばかりですが、既に明るい兆しが見えています。パーティハーン(Partyhaan)と名付けられた牡馬が、2024年11月のJRA2歳未勝利戦を勝利し、産駒としてJRA初勝利を記録しました 。同馬はその後、G3京成杯へも出走しており(5着) 、日本競馬への適性の高さを示唆する重要な一例となっています。  

血統面から日本競馬への適性を考えると、父IffraajはZafonic(Gone West系)の産駒で、自身もG2を複数勝利し、種牡馬としてもRibchester、Rizeena、Jungle Cat、Turn Me Looseなど多くのG1馬を輩出している国際的な成功サイアーです 。Gone Westの系統はスピードとマイル適性で知られ、日本でも成功例があります。 Wootton Bassettの最大の魅力の一つは、その血統構成がSadler’s WellsやDanehillの血を近親に持たない点です 。日本の繁殖牝馬の多くがこれらの血、特にサンデーサイレンス系、キングカメハメハ系(KingmamboひいてはMr. Prospector系)、ディープインパクト系の影響を強く受けているため、Wootton Bassettは理想的なアウトクロス(異系交配)の相手となります。この遺伝的多様性は、活力ある産駒を送り出す上で非常に価値が高いと言えます。 産駒がG1を勝利している距離は1000m(Wooded)から実質2400m(Almanzor、King of Steel)までと幅広く、この万能性はあらゆる距離で豊富なレースプログラムが組まれている日本競馬において大きな強みとなります。

注目すべき配合(ニックス)としては、Pivotalを母父に持つ牝馬との配合で成功例が多く見られ、これはNureyevの4×4のインブリードを形成します 。また、Galileo(Sadler’s Wells系)を母父に持つAl Riffa や、Nathaniel(Galileo産駒)を母父に持つZellie など、Sadler’s Wells系の血を持つ牝馬との間からもG1馬が誕生しています。これらの血統は日本の牝馬にも多く見られるため、Wootton Bassettは幅広い日本の牝馬と好相性を示す可能性があります。 パーティハーンのJRA初勝利は、Wootton Bassett産駒が日本の調教方法、馬場、レース展開に適応できることを示す重要なデータです。これに加えて、日本で主流の血統に対するアウトクロスとしての価値は、Wootton Bassett産駒への投資妙味をさらに高めています。高価ではありますが、それに見合うだけのポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。  

今年の募集馬

チャネルの24

  • 募集番号: 49
  • 性別:
  • 総額: 1億円
  • 一口価格: 250万円
  • 予定厩舎: 木村哲也

母ChannelがNathaniel産駒である場合、その父NathanielはGalileo産駒で、EnableやDesert Crownといったクラシックホースを輩出している名種牡馬です。母の母父DansiliはDanehill産駒で、優れたブルードメアサイアー(母父としての種牡馬)として知られています。

この配合(Wootton Bassett × Channel [父Nathanielと仮定])は、まさに「良血」と呼ぶにふさわしい組み合わせです。Wootton BassettとNathaniel産駒の牝馬との配合からは、既にG1マルセルブサック賞勝ち馬Zellieが誕生しており 、これは非常に心強い実績(ニックス)と言えます。 この牡駒は、中距離(2000m~2400m)でのクラシック戦線を賑わすだけの遺伝的背景を持っています。Wootton Bassettが伝えるクラスと、母Channel自身のG1ディアヌ賞勝ちの実績、そしてZellieを輩出した実績のある配合パターンが組み合わさることで、トップクラスの競走馬となる大きな可能性を秘めています。

1億円という価格は、サンデーサラブレッドクラブの募集馬の中でも最高価格帯に属し、これは父Wootton Bassettの国際的な評価と、母馬のG1実績を反映したものです。預託予定厩舎である木村哲也厩舎は、数々のG1馬を育て上げたJRAを代表するトップトレーナーの一人であり、この点も本馬への期待の高さを物語っています。牡馬であるため、競走で成功を収めれば将来の種牡馬としての価値も非常に高くなるでしょう。 このチャネルの24は、国際的なトップサイアーとG1勝ち牝馬の配合、そして実績のあるニックスという、まさに最高の投資ポテンシャルを秘めた一頭と言えます。価格に伴うリスクは当然ありますが、その血統背景は日本競馬に大きなインパクトを与える可能性を十分に感じさせます。  

まとめ

本稿では、2025年度サンデーサラブレッドクラブ募集馬の中から、世界的に注目される海外種牡馬Ten SovereignsとWootton Bassett、そしてその産駒たちをご紹介いたしました。

Ten Sovereignsは現役時代にG1ミドルパークステークス、G1ジュライカップを制した快速馬であり、その産駒トゥープレシャスの24(牝)は、父のスピードと母系のバランスの良さが魅力です。早熟性とスプリント~マイル戦での活躍が期待され、繁殖牝馬としての将来性も豊かな一頭と言えるでしょう。

一方、Wootton BassettはAlmanzorを筆頭に数々のG1馬を輩出し、今や世界を代表するトップサイアーの一頭です。その産駒チャネルの24(牡)は、母がG1仏オークス馬Channelであるとすれば、まさに世界レベルのクラシック血統を受け継ぐ逸材です。G1制覇、そして将来の種牡馬入りという夢を託すにふさわしい、最高級の投資対象と言えるでしょう。

これらの海外からの新しい血は、日本競馬に新たな活力をもたらし、一口馬主の皆様にとってもこれまでにない興奮と成功をもたらす可能性があります。ご紹介した情報が、皆様の出資検討において、より深い洞察と確信を得るための一助となれば幸いです。