【種牡馬考察】ドレフォン産駒の考察

種牡馬考察

はじめに

2016年BCスプリント出走時のドレフォン(サンタアニタ競馬場)。近年、ドレフォン産駒が芝・ダート双方で活躍し始めており、一口馬主の間でも「ドレフォン産駒は出資すべきか?」と評判になっています。米国出身のドレフォンはサンデーサイレンスの血を含まない希少な血統背景もあり、初年度から多数の繁殖牝馬を集めた注目種牡馬です。

本記事ではドレフォンの現役時代の戦績や評価、種牡馬としての実績と産駒傾向を解説し、ドレフォン産駒の評価や適性を踏まえて出資判断のヒントを提供します。「産駒の評判は?」「出資するメリット・リスクは?」といった疑問に答え、一口馬主目線でドレフォン産駒の魅力と注意点をまとめます。

1. 現役時代の戦績と評価

デビュー前後の評価と命名由来:ドレフォンは2014年のキーンランド1歳セールにて45万ドルで取引されました。馬名の「ドレフォン(追風)」は、所有者(アメリカのバファート厩舎)の持ち馬で最速だった馬にちなみ中国語で名付けられました。父ジオポンティ譲りの筋肉質な体型でスピード能力に優れ、デビュー前から短距離適性が高いと期待されていました。

2歳時(2015年):10月のサンタアニタ競馬場・ダート5.5ハロン戦でデビューしましたが、スタートで出遅れて5着に敗退します。しかし続く2戦目、デルマー競馬場のダート6ハロン戦ではスタートからハナを奪い、直線で一気に後続を突き放す圧巻の走りで2着に9馬身以上の差をつけ初勝利。この圧勝劇により、米競馬メディアで“TDNライジングスター”の称号を得て素質の高さを示しました。

3歳時(2016年):本格化したドレフォンは春から条件戦を連勝し、8月のG1キングズビショップステークス(ダート7ハロン)で重賞初挑戦ながら好タイムの1分21秒25で逃げ切り勝ちを収めます。このレースでは道中で主導権を握り直線でも加速して3馬身差をつける快勝で、初重賞制覇がG1という衝撃的な内容でした。続く11月のブリーダーズカップ・スプリント(G1・ダート6ハロン)では、序盤から激しい先行争いを演じつつ、最後は抜け出して1馬身1/4差で優勝。この勝利により3歳シーズンを4戦4勝で終え、米最優秀短距離馬(エクリプス賞スプリントチャンピオン)に選出されました。

4歳時(2017年):さらなる飛躍が期待された古馬シーズンでしたが、復帰初戦のG1ビングクロスビーSではスタート直後に内側に斜行して騎手が落馬、不完全燃焼の競走中止となります。幸い人馬とも無事で、立て直した次走のG1フォアゴーステークス(ダート7ハロン)では一転して終始安定した逃げ脚を見せ、最後は4馬身差の圧勝でG1通算3勝目を挙げました。しかし連覇を狙ったブリーダーズカップ・スプリント(デルマー開催)では、スタートで後手に回り中団から伸びを欠いて6着に敗れ、このレースを最後に現役引退となりました。

総合評価:通算9戦6勝・G1三勝という戦績に加え、「スタートダッシュと二の脚の速さ」に定評があった馬です。3歳時には同世代トップクラスのスプリンターとして無敗でチャンピオンに輝き、スピードの絶対値と勝負根性が高く評価されました。米国競馬の名伯楽ボブ・バファート調教師も「小柄だが芯の強い馬で、ハナに立った時の粘り強さは驚異的」と称賛しており、早いペースでも自分の形に持ち込めば崩れない“短距離の王者”と評価されました。

2. スタッドインの背景と注目度

引退と種牡馬入りの経緯:ドレフォンは4歳秋のBCスプリント敗戦後、すぐに現役引退が決まりました。そのポテンシャルに注目した社台グループが交渉し、2017年12月22日に日本へ輸入され社台スタリオンステーションで種牡馬入りしています。米国チャンピオンスプリンターが引退直後に日本で供用されるのは、2003年のウォーエンブレムやスウェプトオーヴァーボード以来15年ぶりで、国内外で大きな話題となりました。購買時に社台関係者は「突出したスピード能力により短距離を走ってきたが、母父ゴーストザッパー譲りのスタミナで距離への対応力も見込め、馬体・フットワークも素晴らしい。血統面から日本の芝レースで活躍する産駒が出る下地も十分にある」とコメントしています。この発言から、ダート短距離の実績馬ながら芝・中距離への適性も伝える万能型種牡馬として期待されていたことが分かります。

繋養先と初年度の反響:繋養地は北海道安平町の社台スタリオンステーションで、種付け料は初年度(2018年)受胎確認後300万円に設定されました。サンデーサイレンスの血を持たないアウトクロス種牡馬という希少性や、米チャンピオンの肩書きも追い風となり、初年度から207頭に種付けを行う大盛況となりました。この207頭という数字は社台SS供用種牡馬の中でも上位で、満口(ブックフル)状態だったことを示しています。以降も毎年150~200頭前後の繁殖牝馬を集め、特にノーザンファーム生産馬を中心に良血牝馬がこぞって配合されるなど、牧場サイドの期待も非常に高いスタートでした。

血統的価値・サイアーライン:父ジオポンティは米芝G1を7勝した名馬ですが産駒の目立った活躍馬は少なく、ドレフォンが同父産駒で最も成功した競走馬と言えます。サイアーラインを辿るとテイルオブザキャット~ストームキャット系に属し、パワーとスピードを両立する血統です。日本で隆盛のサンデーサイレンス系との血統的相性も良く、実際にドレフォン産駒からは初年度産駒の皐月賞馬ジオグリフ(母父キンカメ×祖母父サンデー)をはじめ、サンデーの血を持つ繁殖との間に芝G1級の活躍馬が生まれています。母父ゴーストザッパーはBCクラシック勝ちの米名馬で、底力とスタミナの源でもあります。こうした背景から「スピード×底力」のハイブリッドな血統価が評価され、日本導入時には「新時代のダート&芝兼用種牡馬」として注目されました。

3. 種付け料と種付け頭数の推移

ドレフォンの初年度から2026年までの種付け料と種付け頭数の推移は以下の通りです(単位:万円、頭)。年ごとの種付け料は供用成績や市場評価を反映して変動し、種付け頭数にも影響を与えています。

年度種付け料(受胎条件)種付け頭数
2018年300万円207頭
2019年300万円204頭
2020年300万円186頭
2021年300万円172頭
2022年700万円198頭
2023年700万円125頭
2024年600万円140頭
2025年500万円173頭
2026年800万円

※種付け料は社台スタリオンステーション公表額、頭数はJBBA等の発表資料に基づく。2026年の種付け頭数はシーズン前のため空欄。

推移の解説:初年度から4年間(2018~2021)は300万円という新種牡馬としては手頃な価格設定でしたが、産駒デビュー前にも関わらず毎年約180~200頭前後の高い種付け頭数を維持しました。これはドレフォンへの期待度の高さと、繁殖牝馬側の積極的な支援があった証と言えます。2021年に初年度産駒がデビューするといきなりJRAファーストシーズンサイアーチャンピオンを獲得し、その成功を受けて種付け料は翌2022年に300万→700万円へ一気に引き上げられました。値上げ後も2022年は198頭と高い需要を保ちましたが、さすがに2年目の2023年シーズンには125頭まで落ち込みます(種付け料据え置きだったこともあり市場がやや冷静になった可能性があります)。そこで2024年は種付け料を600万円に減額した結果、頭数は140頭に微増しました。さらに2025年には思い切って500万円まで値下げしたことで需要が回復し、173頭と再び大幅増となりました。こうした価格調整の背景には、産駒の活躍状況と需要バランスを見極めるスタリオン側の戦略がうかがえます。そして迎える2026年、ドレフォンは産駒の重賞実績やサイアーランキング上位進出を受けて800万円へ大幅増額が発表されました。わずか1年での大幅値上げはそれだけ種牡馬として評価が再上昇している証拠であり、供用9年目で改めて注目度が高まっていると言えるでしょう。

4. 産駒の傾向と評価

芝/ダート適性:ドレフォン産駒はその大半がダートで結果を残しており、勝ち鞍の約8割はダート戦が占めています。父譲りのパワフルなスピードから「ダート向きの血統」と評されますが、一方でストームキャット系種牡馬らしく若い頃(2~3歳)は芝レースでも走る馬がいる点が特徴です。実際、初年度産駒のジオグリフは2歳時に芝の札幌2歳Sを勝ち、3歳春には皐月賞(芝2000m)を制しました。ただし古馬になると芝での勝利数は大きく減少し、ジオグリフ自身も古馬では天皇賞(秋)や香港カップで振るわなかったように、芝では早期までに成果を出すタイプが多いようです。総じて「若いうちは芝OK、成長とともにダート主体」が傾向で、クラシック戦線を狙える芝適性を秘めつつ、最終的にはダートで息長く活躍する二刀流のような産駒も見られます。

距離適性・成長力:父が米6~7ハロン(約1200~1400m)のG1を勝ったスプリンターということもあり、基本的には短距離~マイル志向の産駒が多いです。実際、ドレフォン産駒のJRA重賞勝利はダート1600~1800m前後や芝マイル~中距離で集中しています。ただ一部には例外も存在し、例えば初年度産駒デシエルトは芝2000mの中日新聞杯を勝利、ワープスピードに至っては豪州のメルボルンC(芝3200m)で2着に健闘するなど、長距離戦や海外でも実力を示しました。このように「距離の壁」を感じさせないオールラウンダーな産駒も輩出している点は特筆すべきでしょう。成長力に関しては、牡馬は総じて早熟傾向で2~3歳の若駒戦から活躍する一方、牝馬はじっくり成長して後年に大舞台で力を発揮するケースもあります。実際、2025年にはスターニース(牝2)が阪神JFを制し牝馬クラシック戦線に名乗りを上げていますし、地方交流重賞では古馬牝馬の台頭も見られます。総合すると「牡馬は早め仕上がり・牝馬は晩成気味」という傾向がありそうです。

気性面・その他:極端に気性難という話は聞きませんが、父がレース中に逸走した経験もあるように、スピード優位の血統ゆえ繊細な面はあるかもしれません。産駒にも折り合いを欠くケースが稀に見られますが、総じて競走意欲が高くレースで真面目に走る馬が多い印象です。仕上がり早で2歳戦からガンガン勝ち上がる反面、早々に燃え尽きないようケアが必要、と調教師から指摘される産駒もおり、メンタル面のケアを含めた長所伸展が鍵となるでしょう。

配合傾向:ドレフォンはアウトブリード種牡馬として繁殖の配合相手を選びませんが、データ上は「芝で活躍する産駒は母系にサンデーサイレンスの血を持つケースが多い」ことが分かっています。ジオグリフ(祖母父サンデー)の例に限らず、母父または二代母父がサンデー系の繁殖と配合された産駒から芝重賞馬が出やすい傾向です。逆にダート適性を存分に発揮する馬は、母父にブライアンズタイムやゴールドアリュールといったパワー型血統を持つ配合がハマりやすいとされています。実際、レパードSを勝ったミッキーファイトは母父ブライアンズタイム、NARで活躍する牡馬にも母父に米国型血統を持つ例が目立ちます。配合面での狙い目は「母系にサンデーの斬れる血=芝対応力」と「母系に米国型ダート血統=パワー強化」の2パターンと言え、ドレフォン自身の万能性を引き出す交配がカギとなるでしょう。

セレクトセール・市場評価

ドレフォン産駒はセレクトセールなど市場でも高い評価を受けています。初年度産駒から早くも高額取引馬が続出し、落札額5000万円超の産駒も多数います。その中でも特に話題となった主な高額落札馬は以下の通りです。

落札額(税込)母馬(生年)馬名(父ドレフォン)メモ・主な戦績
2億5000万円アドマイヤセプターの2019デシエルト若葉S勝ち(皐月賞出走)
8400万円ビキニブロンドの2019シンエン地方OP特別勝ち(ダート短距離)
7200万円レディデラウェアの2022メレサンクセレクトセール2023当歳市場で落札
7000万円パンデリングの2020コンティノアールUAEダービー3着、米KYダービー出走

※落札額はセリ取引価格(税込)、馬名太字は中央競馬でデビュー済みの現競走馬。

市場評価のポイント:最高額は何と言ってもデシエルトで、母アドマイヤセプター(良血牝馬)の2019年産駒として2億5000万円もの値が付きました。同馬はノーザンファーム生産×良血背景にドレフォンの初年度産駒という組み合わせで注目度が高く、結果的に若葉ステークス優勝で期待に応えています。次いでシンエン(母ビキニブロンドの19)は8400万円、パンデリングの20(現コンティノアール)は7000万円で取引されました。コンティノアールはその後UAEダービー3着から米ケンタッキーダービーに選出されるなど世界を舞台に戦う馬となり、高額落札に見合う活躍を見せています。総じてドレフォン産駒はセリ市でも高額取引が相次ぐ人気銘柄であり、2023年までのセレクトセール累計では落札総額約32億円・平均約4180万円という好成績を残しました。これは同世代の種牡馬と比較してもトップクラスで、市場からの期待値がいかに高かったかを物語っています。もっとも一口馬主クラブ募集では比較的手頃な価格帯の産駒も多く、必ずしもセリ価格=走る馬とは限りません。「高額=大物確定?」という問いについては、クラブ募集馬の中からも活躍馬(例:スターアニスやジオグリフ等)は出ていますので、価格に惑わされず馬個体の素質を見極める目が大切でしょう。

5. 出資判断のヒントとまとめ

向いている出資者像:ドレフォン産駒は2歳戦からガンガン走ってくれる早期活躍型が多いため、「なるべく早く口取りを味わいたい」「ダートでも確実に勝ち上がりたい」という一口馬主には最適です。特に牡馬は仕上がりが早く、未勝利脱出率も高いため、出資初年度から勝利を期待できます。一方でクラシックのような芝中長距離の大舞台を夢見る方にとっては、ドレフォン産駒はややピークが早く3歳春までに勝負所が集中する傾向がある点に留意が必要です。とはいえジオグリフやスターアニスのように芝G1を狙える例も出てきたため、「ダート中心だが芝の素質もある二刀流」にロマンを感じる方にも向いているでしょう。

狙い目ポイント:配合面では前述のように母系にサンデー系の血を持つ産駒が芝適性を発揮しやすく狙い目です。クラブ募集馬でも「母父ディープインパクト」「祖母父サンデーサイレンス」といった血統のドレフォン産駒は注目です。逆に確実にダート路線で勝ち上がりたいなら、母父が米国型ダート血統(ブライアンズタイム系やゴーストザッパー系など)のパワフルな配合馬が狙い目でしょう。育成段階の評価も重要で、スピード能力の高さは仕上がりの早さに直結します。トレーニングセールなどで動きの良さが伝えられる産駒は期待大です。総じて「早期から活躍しそうな馬」を見極めることが、ドレフォン産駒で出資成功を掴むポイントと言えます。

リスクと注意点:リスク面では、芝適性が開花しなかった場合にダート専念となる可能性がある点です。ダート戦は賞金面で芝G1路線よりやや見劣るケースもあるため(交流重賞を除く)、長期的な大舞台狙いの場合は期待値を見極める必要があります。また初年度から産駒数が非常に多いため、世代内での激しい競合も覚悟しなければなりません。人気種牡馬ゆえ能力が平均以上でも同父の有力馬同士で潰し合う場面もありえます。さらに父譲りのスピードに任せて飛ばしすぎる気性の産駒もおり、短距離戦で脆さを見せるケースも散見されます。出資の際は各馬の気性面・持続力もチェックポイントです。

今後の展望:2024年にドレフォンは総合種牡馬ランキング5位(JRA種牡馬9位)と初のトップ10入りを果たし、2025年以降は更なるリーディング上昇が期待されています。芝クラシックホース・ジオグリフ、ダートの有力馬・ミッキーファイトに加え、牝馬路線でも阪神JF馬スターアニスが登場するなど、芝・ダート・短距離・長距離を問わず活躍馬が続々誕生しています。これは一口馬主にとって選択肢の幅が広がる朗報であり、「当たり」を引けるチャンスも増えていると言えるでしょう。種付け料の値上がりで募集価格は上昇傾向にあるかもしれませんが、その分リターンも大きく見込める種牡馬です。総括すると、ドレフォン産駒は早期から堅実に勝ち上がりつつ、大舞台も射程に捉えられる魅力的な出資候補です。あとは出資者自身のスタンスに合った馬(芝夢追い型かダート確実型か)を見極め、愛馬選びを楽しんでください。


※本レポートは2025年12月時点の情報を基に作成されています。出資判断はご自身の責任において行ってください。