【種牡馬考察】サートゥルナーリア産駒の考察

種牡馬考察

はじめに

一口馬主クラブで出資馬選びを検討している競馬ファンの皆さんに向け、今回は注目の種牡馬サートゥルナーリアを考察します。現役時代の輝かしい戦績からスタッドイン後のエピソード、初年度産駒の最新動向まで、サートゥルナーリア産駒の評価や適性を紐解きながら、出資のヒントも探ってみましょう。

1. 現役時代の戦績と評価

サートゥルナーリアは2018年6月、阪神競馬場の新馬戦でデビューしました。単勝1.1倍という大注目を集める中、好位追走から直線で抜け出し、余裕たっぷりの圧勝で初戦を飾ります。その後、10月の萩ステークス(2歳オープン)も制し無傷の2連勝。年末のG1ホープフルステークスでは道中インで脚を溜め、直線で狭い内の進路から鋭く抜け出して快勝。デビュー3連勝で2歳G1ホースに輝きました。

明けて2019年、クラシック戦線に直行した皐月賞(G1)では単勝1.7倍の1番人気に推されます。レースでは好位追走から直線で力強く抜け出し、僅差ながら皐月賞制覇。この勝利で無敗のまま二冠を狙いましたが、日本ダービーでは4着に敗れ初黒星を喫しました。秋に入り神戸新聞杯(G2)を楽勝し、天皇賞(秋)は6着と敗れたものの、年末の有馬記念ではリスグラシューなど歴戦の古馬と対峙します。レース前は気性面の難しさから入念な調整が行われましたが、レースでは落ち着いて実力を発揮し、優勝したリスグラシューに次ぐ堂々の2着と健闘しました。この活躍が評価され、同年のJRA賞最優秀3歳牡馬に選出されています。

4歳シーズンの2020年、サートゥルナーリアは中京記念(金鯱賞・G2)を圧勝して健在ぶりを示しました。続く宝塚記念(G1)では1番人気に支持されましたが、稍重馬場の消耗戦で4着に敗退。その後は体調万全での出走が叶わず、2021年1月に現役引退が発表されます。通算10戦6勝(G1を2勝)、獲得賞金5億2,358万5,000円。無敗の2歳G1馬から皐月賞馬へと駆け上がり、世代トップクラスの実力を示したサートゥルナーリアは、多くのファンに強烈な印象を残しました。その切れ味鋭い末脚と勝負根性は、種牡馬として産駒にも受け継がれることが期待されています。

2. スタッドインの背景と注目度

クラシックでの活躍を経て早々に引退が決まった背景には、さらなる故障リスクを避けて優秀な血統を残す意図がありました。サートゥルナーリアは2021年から北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入りします。初年度種付料は**600万円(受胎条件)**と発表されるや、わずか数日で満口となる人気ぶりで、初年度から205頭もの繁殖牝馬と交配しました。この205頭という数字は当年の種牡馬では4位に相当し、急遽の種牡馬入りにも関わらず異例の高需要だったことが分かります。

注目度の高さの理由として、まず血統的な魅力が挙げられます。父ロードカナロアはスプリント~マイル路線で歴史的名馬となり、その産駒(アーモンドアイなど)も大活躍中の名種牡馬です。母シーザリオは日米オークス馬で、日本屈指の名牝系を築いた存在。兄にジャパンカップ馬エピファネイア、朝日杯FS馬リオンディーズというG1馬がいる超良血です。母父が日本ダービー馬スペシャルウィークという血統背景から、スピードと持続力を兼ね備えた中距離適性がサートゥルナーリアの競走成績にも表れており、産駒にも同様の長所が期待されています。実際、社台スタリオンの関係者・三輪氏は「2頭の兄(エピファネイアとリオンディーズ)が種牡馬として成功しているし、本馬自身のポテンシャルは兄たちより高そうだ。成功は絶対間違いないと思う」と語り、兄弟以上の活躍を確信しているほどです。生産界の期待も大きく、ノーザンファームはサートゥルナーリアに毎年多くの繁殖牝馬を配合しており、2025年シーズンには同牧場だけで49頭を種付けしました(この数は当年トップクラスのイクイノックス、ナダル、キタサンブラックに次ぐ4番目の多さです)。

こうした高い評価と需要に支えられ、サートゥルナーリアの種付料は年々上昇しました。初年度600万円から700万円(2年目)、800万円(3年目)と順調に値上がりし、産駒デビュー前の2023年時点で800万円に達しています。それでも種付け申し込みは殺到し満口が続きましたが、さすがに産駒デビュー直前の2024年はやや様子見の生産者も増えたのか満口発表が2月までずれ込み、種付け頭数も157頭と少し落ち着きました。しかし初年度産駒の活躍を受け、2025年には種付料が1,000万円に大台アップとなり再び数日で満口。139頭に種付けする人気ぶりが復活しています。

以下の表は初年度から2025年までの種付け料と頭数の推移です。

年度種付け料(受胎条件)種付け頭数
2021年600万円205頭
2022年700万円195頭
2023年800万円201頭
2024年800万円157頭
2025年1,000万円139頭

※種付け料は基本的に受胎確認後支払い(フリーリターン特約あり)の条件です。初年度から多くの有力繁殖牝馬を集め、高額ながら需要が衰えない様子がうかがえます。今後さらに産駒がG1戦線で活躍すれば、種付料の更なる上昇も予想されるでしょう。

3. 産駒の傾向と評価

サートゥルナーリアの初年度産駒は2024年にデビューしました。産駒の特徴をデータ面から見ると、勝ち星の約8割が芝レースで挙がっています。父ロードカナロア譲りのスピードがありつつ、母系はクラシック向きの芝長距離血統ですから、多くは芝向きに出ていると言えます。実際、生産界も「芝2000m前後で最強馬を作りたい」という意図で芝適性の高い繁殖牝馬を配合しており、よほど成績不振にならない限り当面は芝志向の配合が続くでしょう。一方でダートでも既に何頭か勝ち上がりが出ています。短距離中心の傾向で、これはサートゥルナーリア自身というより父ロードカナロアのスピード色が濃い産駒が該当していそうです。芝向きの重厚な血統の母との間から生まれた産駒は芝で強さを発揮し、逆に母系にスピード色がある馬はダート短距離もこなす、といった形で多様性も見られます。

距離適性については、現時点でマイルから中距離(1600m~2200m前後)が合っていそうです。例えば初年度産駒の活躍馬を見ると、2歳チャンピオンのカヴァレリッツォはマイル戦でG1に勝利し、一方でファンダム(毎日杯)やショウヘイ(京都新聞杯)は1800m~2200mの中距離重賞を制覇しています。このようにマイル戦から中距離戦まで幅広く対応でき、持続力勝負も利く産駒が多い印象です。サートゥルナーリア自身が切れ味と底力を兼ね備えた中距離馬だったこともあり、産駒も瞬発力とスタミナのバランスに優れたタイプが多くなりそうです。実際、社台SSの公式コメントでも「半兄エピファネイア、リオンディーズ以上に産駒にスピードを伝え、成長力にも期待が持てる」と評されており、スピードの伝達と晩成面の両方で高いポテンシャルを秘めていると分析されています。

気性面については、産駒全体で顕著な傾向はまだ見えていません。サートゥルナーリア自身は3歳時に入れ込みやすい一面も見せましたが、繁殖相手次第ではおとなしい馬も出ています。ただし総じて闘争心が強く勝負根性のある産駒が多い印象で、ここぞの勝負所での勝ち切りが目立ちます。これは父ロードカナロア譲りの勝負強さかもしれません。いずれにせよ、まだ産駒がデビューして2年目と日が浅く、これから成長とともに新たな一面が見えてくるでしょう。

主な活躍産駒

  • カヴァレリッツォ (牡)2025年 朝日杯フューチュリティステークス(G1)優勝馬。クラブ法人シルクレーシングの所属馬で、サートゥルナーリア産駒から初のJRA-G1ホースが誕生しました。この勝利により「エピファネイア、リオンディーズに続き3頭目の兄弟種牡馬によるG1馬輩出」という快挙を達成しています。カヴァレリッツォは新馬戦を快勝後、デイリー杯2歳Sで2着に善戦し臨んだ朝日杯FSで、中団待機から直線は馬群のインを冷静に突いて伸び、逃げ粘る馬を差し切るという鮮やかな内容で2歳マイル王に輝きました。切れ味と勝負度胸に優れ、今後のクラシック路線でも注目の存在です。
  • ショウヘイ (牡)2025年 京都新聞杯(G2)優勝馬。初年度産駒から早くもクラシック前哨戦の勝ち馬を出しました。ショウヘイは春の京都新聞杯(芝2200m)を制し、日本ダービー出走権を獲得。ダービー本番では結果を出せなかったものの、中距離での持久力勝負を制した内容からスタミナと勝負根性の高さがうかがえます。サートゥルナーリア産駒がクラシック戦線に送り出した筆頭格であり、今後の古馬G1戦線での飛躍も期待されます。なお、他にもファンダム(毎日杯G3)やエストゥペンダ(3歳オープン3勝など活躍)といった産駒がクラシック候補に名乗りを上げており、世代ごとに有力馬を輩出している点も頼もしいです。

4. 出資判断のヒントとまとめ

最後に、一口馬主としてサートゥルナーリア産駒への出資を検討する際のポイントをまとめます。

●どんな出資者に向いているか?
サートゥルナーリア産駒はクラシックを狙いたい中上級者の出資者にとって大変魅力的な候補と言えます。芝中距離で大舞台を目指せる素質馬が多く、実際にデビュー2年目で早くもG1馬を輩出したように、大レースでの夢があります。一方で2歳戦から勝ち上がりが多く出ているように早期から楽しめる面も持ち合わせますので、「初めての一口出資だけど重賞を狙える馬がほしい!」という意欲的なビギナーにも向くでしょう。ただし人気種牡馬ゆえに募集価格は高額帯になりがちで、募集時点の期待値も相当に織り込まれています。出資金に見合ったリターンを得るにはクラシック級の大物に成長することが条件とも言えますから、その点のリスクは心得ておきたいですね。

●血統面の相性と注目ポイント
配合面では、母父ディープインパクトやハーツクライ、マンハッタンカフェといった歴代リーディング種牡馬との組み合わせから活躍馬が出やすい傾向があります。事実、初年度産駒の勝ち星上位には母父ディープインパクトの馬が複数います。今後もノーザンファームを中心に良血牝馬と配合されるため「父サートゥルナーリア×母父ディープ系」のような組み合わせには要注目です。また、欧州色の強いスタミナ血統の繁殖牝馬との配合も面白く、母父モティベーターの産駒(例:フォーエヴァーユアーズ’24という募集馬)がクラシックを賑わす可能性も示唆されています。いずれにせよ父系由来のスピードと母系由来の持久力を兼ね備えたサートゥルナーリア産駒は、距離適性の幅が広く重馬場も苦にしないタイプが多そうです。配合表を見てスピード型とスタミナ型どちらの色が濃いかを判断し、その馬に合った舞台での活躍イメージを持つと出資判断の助けになるでしょう。

●他の種牡馬との違いと今後の展望
同じシーザリオの仔で種牡馬となったエピファネイアやリオンディーズと比べると、サートゥルナーリアは父系にロードカナロアを持つ分、産駒にスピードを強く伝える点が特徴です。実際、エピファネイア産駒が長距離で台頭する一方で、サートゥルナーリア産駒はマイル前後のG1戦線にも顔を出しています(カヴァレリッツォの朝日杯FS制覇など)。このスピードとキレは出資者にとって嬉しいポイントで、早い時期から活躍しやすい反面、成長力もあるため古馬になってからの飛躍も見込めます。実際、初年度産駒はファーストシーズンサイアー(新種牡馬リーディング)を獲得し、2年目世代から早くもG1馬が出たことで種牡馬としての評価もうなぎ登りです。今後はクラシック三冠レースやジャパンカップなど、より長い距離のビッグタイトルに産駒が手を届かせられるかが注目されます。エピファネイア産駒が皐月賞・秋華賞・有馬記念を制し、リオンディーズ産駒も天皇賞(春)や有馬記念を制覇している中、サートゥルナーリア産駒も負けじとクラシック制覇を果たせるか、大いに期待が高まります。

●まとめ
総じてサートゥルナーリアは「大舞台に強い血統とスピード」を併せ持つ新進気鋭の種牡馬です。芝中距離の王道路線で勝負したい出資者にはピッタリでしょう。産駒の早期デビュー・勝ち上がり率も高く、POGや一口出資でも人気化しています。ただ高額の馬が多いため、予算やリスクと相談しつつ、馬体や気性、厩舎力など総合的に見極めることが肝心です。幸いノーザンファーム生産の良血馬も多く、育成力や情報面でのバックアップは万全と言えます。サートゥルナーリア産駒からは既に「夢」を感じさせる活躍馬が次々登場しています。この勢いに乗って、自分の出資馬がクラシックの舞台に立つ日を夢見てみるのも素敵ではないでしょうか。ぜひ今後も産駒の動向に注目しつつ、運命の一頭との出会いを楽しんでください!