【2025種牡馬考察】エフフォーリア産駒の考察

はじめに
2021年の年度代表馬・エフフォーリアの第一世代がついに募集馬にラインナップされ、新種牡馬として注目を集めています。現役時代に皐月賞、そして三歳での天皇賞(秋)、有馬記念の制覇と国内最高峰のレースを制した実績から、一口馬主クラブ会員の間でも「次代のスターホースを生み出すのでは」と期待が高まっています。
特に2025年度の社台サラブレッドクラブおよびサンデーサラブレッドクラブの募集馬ラインナップに、エフフォーリアの初年度産駒が登場することから、今まさに出資検討のタイミングです。本記事ではエフフォーリアの競走成績から種牡馬入りまでの経緯、産駒の特徴や今年の募集馬の注目ポイントまで、スマートフォンでも読みやすい構成で詳しくまとめます。一口馬主として出資馬選びの参考に、ぜひご覧ください。
現役時代の戦績と評価
エフフォーリアは2018年生まれの牡馬で、美浦・鹿戸厩舎に所属し、キャロットファームが所有しました。2020年8月に札幌の新馬戦でデビュー勝ちすると、続く百日草特別、共同通信杯(G3)まで無傷の3連勝でクラシック戦線へ駒を進めます。3歳春の皐月賞(G1)では2番人気に推され、逃げたタイトルホルダー以下に3馬身差をつける圧勝でクラシック初制覇を達成しました。続く日本ダービー(G1)ではゴール前でシャフリヤールに鼻差かわされ惜しくも2着と敗れますが、その悔しさを糧に秋には飛躍します。
秋初戦の天皇賞(秋)(G1)では、無敗の三冠馬コントレイルやマイル女王グランアレグリアなど錚々たる古馬勢を相手に、1番人気に応えて優勝。さらに年末のグランプリ有馬記念(G1)もファン投票1位の支持に応え制し、年間G1・3勝の快挙を達成しました。この活躍によりエフフォーリアは2021年の年度代表馬および最優秀3歳牡馬に選出され、その年の日本競馬を象徴する存在となりました。
一方、4歳シーズン(2022年)は序盤からやや精彩を欠きました。大阪杯(G1)ではゲートで頭をぶつけた影響もあり9着に敗れ、宝塚記念(G1)も6着と期待を裏切る結果に終わります。巻き返しを期して臨んだ有馬記念では前年の覇者として出走するも、エフフォーリア自身の調子が上がらず5着止まり。そして迎えた5歳初戦、2023年2月の京都記念(G2)でアクシデントに見舞われます。レース中盤で突然失速し競走中止となり、心房細動(レース中に心臓のリズムが乱れる不整脈)が発症していたことが判明しました。幸い翌日の検査では心電図に異常は見られなかったものの、陣営は協議の末「再発リスクを抱え現役を続けるよりも種牡馬として繋養する道を選ぶ」決断を下します。こうして2023年2月14日付で現役引退が発表され、エフフォーリアは競走生活11戦6勝(G1・3勝)の華々しい戦績に幕を下ろしました。
引退発表時にはファンから驚きと惜しむ声が上がりましたが、同時に早期の種牡馬入りを歓迎する声も多数聞かれました。エフフォーリアの生涯主戦騎手・横山武史ジョッキーが天皇賞(秋)優勝時に「ダービーの悔しさから初めて嬉し泣きした」と語ったエピソードや、皐月賞制覇後に父子二代のクラシック制覇(父エピファネイアも菊花賞馬)として話題になったことなど、数々の伝説を残した名馬だけに、そのDNAを次世代に伝えてほしいという期待が高まったのです。
種付け料と種付け頭数の推移
エフフォーリアは京都記念の競走中止からわずか数日後、2023年2月18日付で北海道安平町の社台スタリオンステーションにスタッドインしました。通常、トップホースの種牡馬入りはシーズンオフに発表されることが多い中、シーズン途中の緊急引退・即供用開始は異例の展開でした。その背景には、エフフォーリアが父エピファネイアの初後継種牡馬であり、繁殖シーズン真っ只中でも高い需要が見込めたことがあります。事実、初年度の種付け申し込みは殺到し、発表から瞬く間に満口(予約枠完売)となる盛況ぶりでした。
初年度の種付け料は**300万円(受胎確認後支払い)と設定されました。G1を3勝し年度代表馬にも輝いた実績から「やや安すぎでは」との声もありましたが、これは4歳時の成績不振による評価若干ダウンや、新種牡馬としての未知数な部分を反映した妥当なラインとも言えます。それでも「300万円でも即完売。仮に400万円でも満口だっただろう」と噂されるほど、生産者からの期待と関心は高いものでした。
なお、エフフォーリアの供用2年目となる2024年は種付け料400万円に値上げされ、引き続き満口近い人気を維持しています。以下の表に年別の種付け料と種付頭数の推移をまとめました。
年度 | 種付け料(受胎後) | 種付け頭数(交配数) |
---|---|---|
2023年(初年度) | 300万円 | 198頭 |
2024年(2年目) | 400万円 | 202頭 |
2025年(3年目) | 400万円 | ※未公表(予約満口見込み) |
※2025年の種付け頭数は公式発表前ですが、前年並みの約200頭前後と見込まれます。初年度から200頭近い繁殖牝馬を集めたこと自体が、エフフォーリアへの期待の大きさを物語っています。種牡馬としての評価はこれから産駒がデビューしてみないと最終判断できませんが、生産界の関心度は非常に高く、初年度から有力繁殖牝馬も多数配合されています。
上記の通り、エフフォーリアの種付け料は初年度300万円からスタートし、2年目以降は400万円に設定されています。初年度(2023年)交配数は198頭、2年目(2024年)は202頭といずれも200頭前後のハイレベルな種付け頭数を記録しました。この数字は、同じ社台スタリオンにおける有力種牡馬の中でも上位クラスに匹敵します。参考までに、種付け料が最高額(2,000万円)であるキタサンブラックの2024年種付頭数が191頭であるのと比べても遜色なく、エフフォーリアへの期待がいかに大きいかが分かります。
初年度産駒の誕生数は概ね150頭強になると見込まれ、これは今後の産駒デビュー数やクラシック戦線への送り込み頭数にも直結します。もちろん多くの頭数がいれば活躍馬が出る可能性も高まりますが、その分産駒間の競争も激しくなるため、一口馬主にとっては「玉石混交」の中からいかに将来の大物を見抜くかが腕の見せ所と言えそうです。
産駒の特徴(芝/ダート・距離・早熟性・馬体傾向など)
エフフォーリア産駒は2024年に誕生し始めたばかりで、まだ実際に走った馬はいません。しかし、父エフフォーリア自身の競走能力や血統背景から、ある程度の傾向が予想できます。
まず芝向きの素質については疑いないでしょう。エフフォーリアは全6勝をすべて芝コースで挙げており、特に中距離(2000m前後)から中長距離(2500m前後)で無類の強さを発揮しました。父エピファネイアもジャパンカップや菊花賞を制した芝の一流馬であり、産駒にもデアリングタクト(牝馬三冠)やエフフォーリア自身をはじめ芝G1馬が多数います。したがって、エフフォーリアの子供たちも基本的には芝向きの中距離型が中心になると考えられます。ダート適性については、近親や母系に米国型のスピード血統を持つ馬であれば可能性はあるものの、配合相手次第で一部がダート短距離に向く程度で、現時点では主戦場は芝になりそうです。
距離適性に関しては、クラシックディスタンスの1800m~2400mあたりが得意な馬が多く出るでしょう。エフフォーリア自身は2000mで皐月賞・天皇賞(秋)を勝ち、2500mの有馬記念も制しています。また日本ダービー(2400m)で僅差2着の実績もあり、スタミナと瞬発力を兼ね備えていました。このことから産駒もマイルよりは中距離~長めの距離をこなすタイプが多く、将来的にクラシックや古馬王道路線での活躍を期待できます。
早熟性については、エフフォーリアは2歳11月の百日草特別(新馬から2戦目)で既に頭角を現し、3歳春には皐月賞を勝つなど比較的早い段階で完成度の高い走りを見せました。この点は父エピファネイア譲りとも言えます。エピファネイア産駒も新馬戦から活躍する馬こそ少ないものの、3歳春のクラシック戦線までにはトップクラスに成長してくる傾向があります(デアリングタクトも無敗で桜花賞~秋華賞制覇、エフフォーリア自身も3歳で年度代表馬)。したがって、エフフォーリア産駒も遅くとも3歳春までに素質開花するタイプが多いのではないでしょうか。2歳戦から活躍する早い馬も一部出る可能性はありますが、多くはじっくり育成してクラシックを狙うプランが合いそうです。
馬体面では、エフフォーリアは父エピファネイアに似た均整の取れた体格で知られました。体高約165cmほどの中型馬ながら胸前が深く発達し、後躯の筋肉量も豊富でパワフルな走りを可能にしていました。産駒も総じてバランスの良い体型と強い後肢を持つ馬が多いとの評判です(実際にノーザンファーム関係者の間でも「父に似て馬格がしっかりした良駒が多い」との声があります)。重心が低めでフォームの綺麗なタイプが多ければ、芝の切れ味勝負にも対応できるでしょうし、パワー型であれば稍重・重馬場でも力を発揮できるでしょう。毛色は鹿毛~黒鹿毛系が中心と予想され、父譲りの精悍な馬体がひと目でそれと分かるかもしれません。
総じて、エフフォーリア産駒は「芝の中距離戦で早い時期から活躍しやすい総合力タイプ」というイメージです。スピードとスタミナのバランスが良く、大崩れしにくい堅実さも受け継ぐのではと期待されています。一方で、新種牡馬ゆえにまだ突出した特徴が見えにくい部分もありますので、各馬の母系や個体差によって適性が左右される可能性も念頭に置く必要があります。
2025年社台・サンデーサラブレッドクラブ募集馬の傾向と注目馬
いよいよ2025年度の各クラブ募集馬リストに、エフフォーリアの初年度産駒(2024年生まれの当歳=翌年2歳馬)が登場します。今年は社台TCとサンデーTC合わせて数頭の募集予定があり、その内容から産駒の傾向や評価が見えてきます。
● 社台サラブレッドクラブの募集馬傾向: 社台TCでは2025年度募集にエフフォーリア産駒が2頭ラインナップされています。その注目馬が「アリエノールの24(牡)」です。母アリエノールはディープインパクト産駒で3勝を挙げた良血馬。その祖母は仏G1オペラ賞の勝ち馬という名牝系出身で、叔父・叔母には海外含め重賞活躍馬がいる良血です。アリエノールの24はその初仔にあたり、総額4,000万円(一口100万円×40口)という募集価格が設定されました。価格帯はクラブ募集馬としては中間クラスですが、これは母の実績(重賞勝ちはないが良血で堅実に走った)と新種牡馬である父の評価を踏まえた妥当なラインでしょう。馬体は鹿毛の牡馬で、3月生まれながらバランスの整った印象と報じられています。欧州譲りのしなやかさとエフフォーリア産駒らしい力強さを兼ね備えているとのことで、芝中距離でクラシックを狙える素材として期待がかかります。
。クラブ側もエフフォーリア産駒のポテンシャルを見極めつつ、まずは手頃な価格設定で会員に提供している印象です。社台TCで募集される唯一の産駒である「アリエノールの24」は、エフフォーリアの代表産駒第1号となる可能性も秘めており、要注目の一頭と言えるでしょう。
● サンデーサラブレッドクラブの募集馬傾向: サンデーTCでは2025年度募集にエフフォーリア産駒が3頭含まれています。その中でも目玉といえるのが**「チェッキーノの24(牡)」です。母チェッキーノは2016年の桜花賞2着・優駿牝馬(オークス)2着とクラシックで活躍した実力馬で、繁殖牝馬としても優秀な成績を収めています。その初仔チェルヴィニアが2024年の最優秀3歳牝馬(牝馬二冠達成)に輝くなど勢いのある牝系です。エフフォーリアとの配合となったチェッキーノの24は、募集総額1億2000万円(一口300万円×40口)と新種牡馬産駒では破格とも言える最高クラスの価格が付きました。これは今年のサンデーTC募集馬全体でもトップから2番目に高い水準であり、ノーザンファームがこの仔にかける期待の大きさを示しています。実際、チェッキーノの24は黒鹿毛の雄大な馬体に恵まれ、半姉チェルヴィニアにも負けないクラシック級のオーラを放つと評判です。「エフフォーリア産駒で1億円超」はこの馬のみであり、ノーザンファーム産のエフフォーリア産駒の中でも筆頭株として注目されます。
サンデーTCでもう一頭挙げたいのが「クッカーニャの24(牡)」です。母クッカーニャは現役時代に芝・ダートで5勝を挙げた優秀なオープン馬で、父フジキセキ譲りのスピードと勝負根性が持ち味でした。その初仔となる当馬は、募集総額4000万円(一口100万円×40口)と比較的手頃ながら、関係者の間では「走る配合」との声もあります。母系は名牝シーザリオ(一族にエピファネイアやサートゥルナーリア)に連なる良血で、エフフォーリアとの相性も良いと見られています。馬体は鹿毛の牡馬で4月生まれですが成長力があり、歩様にも力強さが感じられるとのこと。価格以上の活躍を期待できる掘り出し物候補**としてサンデーTC会員から注目されています。
以上の他にも、サンデーTCではエフフォーリア産駒が数頭募集予定ですが、概ね「良血背景を持つ中~高価格帯の牡馬」が中心です。今年のクラブ募集全体を見渡すと、サンデーTCはエフフォーリア産駒を含め新種牡馬の産駒をバランスよく織り交ぜており、キズナやキタサンブラックなど既 proven種牡馬産駒と肩を並べてリストアップされています。例えば、募集頭数92頭中エフフォーリア産駒は数頭ですが、最高額グループに食い込むなど存在感を示しています。ノーザンファームとしても、エフフォーリア産駒に早くから大舞台を狙える素材がいると判断し、クラブ募集に積極的に組み込んでいるようです。これは一口馬主としても心強い材料で、「初年度から大物が出るかも?」というワクワク感を持って出資検討できるでしょう。
各注目馬のポイントを整理すると:
- アリエノールの24(牡, 社台TC) – 祖母が仏G1馬の良血。総額4000万と手頃でクラシックを狙える芝向き中距離タイプ。
- チェッキーノの24(牡, サンデーTC) – 半姉に牝馬二冠馬チェルヴィニア。総額1.2億の最高級募集馬でエフフォーリア産駒の大本命。
- クッカーニャの24(牡, サンデーTC) – 母5勝の実力馬で堅実配合。総額4000万と狙いやすく、走る可能性を秘めた穴株。
これらはいずれも牡馬ですが、今後繁殖牝馬としての価値も見据えれば牝馬産駒にも注目したいところです(※ただし2025年募集ではエフフォーリア産駒の牝馬募集は確認できませんでした)。初年度産駒から将来の種牡馬や繁殖牝馬を輩出できれば、エフフォーリアの系統確立にもつながりますので、クラブ側も慎重かつ意欲的に馬選びをしている印象です。
出資判断のヒントとまとめ
最後に、エフフォーリア産駒への出資を検討する際のヒントをまとめます。新種牡馬の子に出資するのは夢がある反面、そのポテンシャルが未知数ゆえリスクもあります。判断材料として以下のポイントを参考にしてください。
- 父エフフォーリアの実績と血統を信頼できるか: エフフォーリアは競走馬として一流の実績を残し、父エピファネイア譲りの能力と早い成長力を示しました。その長所が産駒に受け継がれると考えるなら、出資の価値は高いでしょう。また母父ハーツクライ由来の底力や気性の勝気さもプラスに働く可能性があります。ただし反面、4歳以降にスランプに陥った点が産駒にどう影響するか(早熟傾向が強すぎないか)も見極めが必要です。
- 配合相手(母系)の質: 初年度から有力繁殖と交配されているとはいえ、産駒ごとに母系の背景や特徴は様々です。母の戦績が優秀であれば遺伝的な確実性は上がりますし、名牝系出身であれば将来的な繁殖価値も高まります。例えばチェッキーノの24のように母がクラシック実績馬なら成功確率は高そうですし、逆に平凡な戦績の母からでも父の力で大物が出る可能性もあります。母系と父エフフォーリアの相性(ニックス)についても専門家の見解をチェックすると良いでしょう。
- 馬体と育成コメント: クラブの募集カタログや測尺・動画などから各馬の馬体を確認し、エフフォーリア産駒らしい長所が出ているかを見極めましょう。具体的には、バランスの取れた体型か、トモ(後肢)がしっかり発達しているか、歩様に力強さと柔軟性があるか等がポイントです。牧場スタッフやクラブのコメントで「父に似た○○」といった表現があれば要注目です。また気性面についても、エフフォーリアはレースでは折り合いが上手く精神力の強い馬でしたので、産駒にも前向きさと落ち着きを兼ね備えているか確認したいところです。
- 募集価格と見合う期待値: 価格はそのまま期待値とも言えますが、高額馬だから必ず走る保証はありません。エフフォーリア産駒の場合、最高額のもの(例: 総額1.2億円のチェッキーノの24)は素質が抜群でも出資ハードルは高めです。一方で中堅価格帯のクッカーニャの24のような馬は、コストパフォーマンスの妙味があります。ご自身の予算やクラブ内抽選の倍率も考慮しつつ、「大本命を狙うか、割安優良株を狙うか」を戦略的に考えてみましょう。
総括すると、エフフォーリアの初年度産駒は一口馬主にとって非常に魅力的な投資先です。父が成し遂げられなかった日本ダービー制覇を産駒が果たす可能性も十分ありますし、父譲りのファン投票1位で有馬記念を勝つようなスターホースが現れるかもしれません。もちろん全頭が活躍するわけではなく、なかには父の良さが出なかった産駒もいるでしょう。その見極めには、ここまで述べた血統背景・馬体・育成情報など多面的な判断が求められます。
しかしながら、一口馬主の醍醐味は夢を先行投資することでもあります。競馬ファンを歓喜させたエフフォーリアの血を受け継ぐ若駒たちに託すロマンは計り知れません。ぜひ今回の記事で得た情報を活用しつつ、ご自身の目と直感も信じて、エフフォーリア産駒への出資を検討してみてください。未来のG1馬を自分の愛馬として迎えられる日を夢見て…きっとその瞬間は、父エフフォーリアがファンに味わわせてくれた“強い幸福感(エフフォリア)”にも勝る喜びとなるでしょう。健闘を祈ります!