【最新版】ブリックスアンドモルタル産駒の特徴と評価|成績・傾向・活躍馬と一口出資の考え方

一口馬主ブログ「ひとくち放牧。」のアイキャッチ画像

目次

はじめに

ブリックスアンドモルタルは、2019年のアメリカ年度代表馬(エクリプス賞)です。5歳のその年、芝のGIを5つ含む6戦6勝で無敗。芝馬としては異例の年度代表馬選出でした。

2020年から社台スタリオンステーションで供用され、初年度から5年連続で種付料600万円という高額設定が続きました。ところが2025年に400万円、2026年には200万円まで下がっています。その一方で、産駒のリーディングは2023年72位から2026年は14位・EI1.07まで上がってきました。本記事では現役時代の来歴を1年ずつ追ったうえで、この評価と実績のねじれを整理します。

現役時代の戦績と評価

ブリックスアンドモルタルの競走成績は通算13戦11勝。ただし4歳時をまるごと故障で失っており、実質的には3歳と5歳の2シーズンで築いた戦績です。

※海外馬のため、日本のデータベースには全戦績が収録されていません。以下の表は重賞を中心とした主な出走歴です。

デビューまで — 米国の名門オーナーブリーダー

2014年3月2日、アメリカで誕生。父ジャイアンツコーズウェイ(Giant’s Causeway)、母ビヨンドザウェーヴス(Beyond the Waves、母父Ocean Crest)という配合です。生産者は米国の名門オーナーブリーダージョージ・ストローブリッジJr.。調教師は米国リーディングトレーナーのチャド・ブラウンでした。

父ジャイアンツコーズウェイはStorm Cat系の大種牡馬で、欧州でGI6勝。日本の主流血統とはまったく重ならない父系です。

2歳(2016年)— デビューは芝で1勝

2歳秋にデビューし、芝のレースを勝ち上がっています。この年は重賞には出走していません。

3歳(2017年)— 重賞を勝ち、以降は3着以内を外さず

日付レース距離着順鞍上メモ
2017/08/04サラトガ・ホールオブフェイムS(GII)芝1700m1着J.ロサリオ重賞初制覇
2017/09/02サラトガ・サラナックS(GIII)芝1800m3着J.ロサリオ
2017/10/07ベルモント・ヒルプリンスS(GIII)芝1800m3着J.ロサリオ

3歳夏にホールオブフェイムステークスで重賞初制覇。秋は2戦して3着・3着でした。この2つの3着が、生涯で唯一「勝てなかったレース」になります。

4歳(2018年)— 成功率50%の手術、1年の休養

4歳シーズンは1戦もできませんでした。跛行の症状が深刻化し、陣営は成功率50%とされた手術に踏み切ります。執刀したのは名獣医ラリー・ブランリッジ。

手術は成功しましたが、レース復帰までに1年の休養を要しました。多くの馬であれば、ここでキャリアが終わってもおかしくない状況です。

5歳(2019年)— 6戦6勝、GI5勝で年度代表馬

日付レース距離着順鞍上メモ
2019/01/26ガルフストリーム・ペガサスワールドCターフ(GI)芝1900m1着I.オルティスJr.復帰初戦でGI制覇
2019年3月フェアグラウンズ・ミューニッツメモリアルクラシック(GII)芝1800m1着
2019年5月チャーチルダウンズ・オールドフォレスターターフクラシック(GI)芝1800m1着
2019年6月ベルモント・マンハッタンS(GI)芝2000m1着
2019/08/10アーリントン・アーリントンミリオン(GI)芝2000m1着I.オルティスJr.
2019/11/02サンタアニタ・BCターフ(GI)芝2400m1着I.オルティスJr.年度代表馬決定づける

1年の休養明け初戦が、いきなりGIのペガサスワールドカップターフ。そこから6連勝でシーズンを終えました。うち5つがGI。

この結果、2019年のエクリプス賞年度代表馬と最優秀芝牡馬に選出されます。ダート中心の米国競馬で芝馬が年度代表馬になるのは異例のことでした。

引退 — 2019年8月、現役中に社台グループへ

注目すべきは、種牡馬としての所有権が現役中の2019年8月7日に社台グループ代表・吉田照哉氏へ移っていたことです。つまりアーリントンミリオンとBCターフは、すでに「日本で種牡馬入りすることが決まった状態」で走ったレースでした。

BCターフを勝ってシーズンを終えたあと引退。通算成績は13戦11勝、負けた2戦もいずれも3着で、生涯で一度も4着以下がありません

年齢別サマリー

年齢(年)戦績主な成績
2歳(2016年)芝でデビュー勝ち
3歳(2017年)3戦1勝ホールオブフェイムS(GII)1着/サラナックS3着/ヒルプリンスS3着
4歳(2018年)出走なし成功率50%の手術と1年の休養
5歳(2019年)6戦6勝ペガサスワールドCターフ/オールドフォレスターターフクラシック/マンハッタンS/アーリントンミリオン/BCターフ(すべてGI)
通算13戦11勝GI5勝・2019年エクリプス賞年度代表馬/4着以下なし

種牡馬入りの背景

2020年、社台スタリオンステーションで種付料600万円スタート

2020年から北海道安平町の社台スタリオンステーションで供用開始。初年度の種付料は600万円という、新種牡馬としては最高クラスの設定でした。

この強気の価格の根拠は明快です。アメリカの年度代表馬であること、芝のGIを5勝していること、そして父系がStorm Cat系で日本の主流血統と重ならないこと。日本の芝中距離路線に、まったく別系統の血を入れられる存在でした。

初年度に178頭、2年目に180頭を集めています。600万円という価格でこの頭数は、生産界の期待の大きさを表しています。

5年連続600万円、そして2026年は200万円へ

種付料は2020年から2024年まで5年連続600万円で据え置かれました。しかし2025年に400万円、2026年には200万円まで下がっています。頭数も2021年の180頭から2025年は47頭まで減りました。

理由は、初年度産駒がデビューした2023年の成績です。リーディング72位・EI0.52と、600万円という価格に見合う結果が出ませんでした。

ところが、そこから数字は上がり続けています。2024年30位 → 2025年15位 → 2026年14位、EIは0.52 → 0.69 → 0.83 → 1.07種付料が下がっている一方で、産駒の成績は上がっているという、いまの評価と実態がねじれた状態にあります。

2025年12月3日、レックススタッドへ移動

2025年12月3日、ブリックスアンドモルタルは安平町早来源武の社台スタリオンステーションから、新ひだか町静内目名のレックススタッドへ移動しました。6シーズンを過ごした社台スタリオンステーションを離れ、新天地で種牡馬生活を続けています。

レックス社の担当者は「アメリカの年度代表馬で、たくさんの重賞勝馬を送り出すという超一流種牡馬」として受け入れを歓迎しています。2026年の種付料200万円は、この移動とセットで決まった価格ということになります。

種付け料と種付け頭数の推移

年度供用年数種付料種付け頭数登録頭数代表産駒
2020年1年目600万円178頭107頭アンモシエラ
2021年2年目600万円180頭129頭ゲルチュタール
2022年3年目600万円127頭79頭ダイヤモンドノット
2023年4年目600万円163頭117頭ジーティーキャリー
2024年5年目600万円105頭75頭
2025年6年目400万円47頭
2026年7年目200万円

2026年度の募集馬(2025年産)は、種付料600万円だった2024年の配合です。生産者が600万円を払って生ませた世代、ということになります。

ブリックスアンドモルタル産駒の最新成績データ

JRAでの年度別成績(2026年8月現在)

年度リーディング順位出走頭数勝馬頭数勝馬率EI入着賞金代表馬
2026年14位152頭32頭21.1%1.078億8,515万円ゲルチュタール
2025年15位197頭49頭24.9%0.8310億8,784万円ゲルチュタール
2024年30位159頭36頭22.6%0.697億2,573万円アンモシエラ
2023年72位64頭12頭18.8%0.522億2,154万円イーグルノワール
累計290頭90頭31.0%0.7129億2,027万円アンモシエラ

EIが0.52 → 0.69 → 0.83 → 1.07と4年連続で改善しています。初年度産駒が苦戦した種牡馬が、世代を重ねて立て直したパターンで、リアルスティールやルヴァンスレーヴと似た動きです。

芝とダートの内訳

項目ダート
出走回数1,434戦680戦
勝利回数115勝40勝
勝率8.0%5.9%
平均勝ち距離1,755.7m1,707.5m

出走の67%が芝で、勝率も芝が上。父が芝のGI5勝馬なので当然の結果です。ただし初のGI馬はダートから出ました(アンモシエラ・JBCレディスクラシック)。ダートも3割は使われており、まったく走らないわけではありません。

ブリックスアンドモルタル産駒の主な活躍馬

馬名生年母父馬主・クラブ戦績獲得賞金主な勝ち鞍
アンモシエラ2021ゴールドアリュール広尾レース18戦5勝2億3,018万円2024年 JBCレディスクラシック(JpnI)
ゲルチュタール2022ゼンノロブロイサンデーレーシング9戦5勝1億5,938万円2026年 日経新春杯(GII)
ダイヤモンドノット2023ディープインパクト金子真人HD8戦3勝1億3,626万円2025年 京王杯2歳S(GII)
ケイズレーヴ2022ディープブリランテ伊藤健21戦9勝1億715万円2026年 オグリキャップ記念(地方重賞)
クランフォード2021キングカメハメハロードホースクラブ16戦4勝9,065万円2024年 豊明S(3勝クラス)
テラメリタ2021ヴィクトワールピサ社台レースホース23戦3勝8,117万円2026年 皆生特別(2勝クラス)
イーグルノワール2021シンボリクリスエス社台レースホース18戦3勝7,825万円兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)
ゴンバデカーブース2021ディープインパクトG1レーシング10戦2勝7,021万円2023年 サウジアラビアロイヤルC(GIII)

クラブ馬の比率が高いのがこの種牡馬の特徴です。ゲルチュタール(サンデーレーシング)、クランフォード(ロードHC)、テラメリタ/イーグルノワール(社台レースホース)、ゴンバデカーブース(G1レーシング)と、上位8頭のうち5頭が一口馬主のクラブ馬。3クラブでの成功例がすでにあるということです。

とくにゲルチュタールは2026年の日経新春杯(GII)を勝ち、9戦5勝で1億5,938万円。サンデーサラブレッドクラブの募集馬として、この種牡馬の出資価値を裏づける存在になっています。

データから見えてきた産駒の傾向

  • EIが4年連続で改善…0.52 → 0.69 → 0.83 → 1.07。初年度産駒の苦戦から明確に立て直し、いま上昇局面にあります
  • 勝ち上がり率は31.0%…290頭出走/90頭勝馬。標準的な水準で、突出して高くはありません
  • 芝が主戦場、ダートも走る…出走の67%が芝(勝率8.0%)、ダートも680戦40勝。初のGI馬アンモシエラはダートで、父の芝実績だけで決めつけられない幅があります
  • 距離は中距離…平均勝ち距離は芝1,756m・ダート1,708m。マイルより少し長いところが中心です
  • 2歳から動ける…ダイヤモンドノットが京王杯2歳S(GII)、ゴンバデカーブースがサウジアラビアロイヤルC(GIII)。2歳重賞の勝ち馬が複数出ています
  • クラブ馬に強い…上位活躍馬の多くが一口馬主のクラブ馬。社台グループの繁殖に多く付けられてきた結果です
  • 血が重ならない…父系はStorm Cat系(Giant’s Causeway)。ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライといった日本の主流牝馬と異系配合が組めます

ブリックスアンドモルタル産駒についてよくある質問

Q. 種付料が600万円から200万円に下がったのはなぜ?

A. 初年度産駒がデビューした2023年に、リーディング72位・EI0.52と苦戦したためです。600万円という価格に対して結果が伴わず、生産者が離れました。ただしその後EIは4年連続で改善して2026年は1.07。価格の下落と産駒成績の上昇が、いま逆方向に動いています。

Q. 芝とダート、どちらを想定する?

A. 基本は芝です。出走の67%が芝で勝率も高い。ただし最初のGI馬アンモシエラはダートのJBCレディスクラシックを勝っており、母系がダート寄りならダートも十分に選択肢になります。

Q. 距離適性は?

A. 1600〜2000mが中心です。平均勝ち距離は芝1,756m。父自身も芝1800〜2400mのGIを勝った中距離馬でした。

Q. 一口出資ではどう考えればいい?

A. いちばん条件がいい時期かもしれません。2026年度の募集馬は種付料600万円時代の配合で、生産者が高い費用をかけて生ませた世代。一方で種牡馬の評価は下がっているので、募集価格は上がりにくい。そこにEI1.07という上昇中の実績が乗っています。ただし勝ち上がり率31.0%は平凡なので、確度そのものを買う種牡馬ではありません。

社台・サンデー・シルクの募集馬(2026年度募集・2025年産)

ブリックスアンドモルタル産駒の3クラブでの募集は社台2頭・サンデー3頭・シルク0頭です(2026年8月時点)。

社台サラブレッドクラブ(2頭)

募集馬母父生年月日生産牧場予定厩舎募集総額一口価格
ノーブルハイディの2025Intello2/19生社台ファーム久保田貴士2,400万円60万円
アルティマブラッドの2025シンボリクリスエス4/14生社台ファーム渡辺薫彦2,000万円50万円

アルティマブラッドの2025は、兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)を勝ったイーグルノワールの全弟妹にあたります。同じ母×同じ父で結果が出ている配合です。

サンデーサラブレッドクラブ(3頭)

募集馬母父生年月日生産牧場予定厩舎募集総額一口価格
ジュールポレールの2025ディープインパクト4/14生白老ファーム杉山晴紀3,400万円85万円
シャンデリアスピンの2025ノヴェリスト4/24生ノーザンファーム辻野泰之3,000万円75万円
ヴェネツィアーナの2025サトノダイヤモンド2/1生白老ファーム西田雄一郎2,400万円60万円

ジュールポレールの2025の母ジュールポレールは2018年のヴィクトリアマイル(GI)勝ち馬。母父ディープインパクトとの組み合わせで、日本の主流血統と異系のStorm Cat系を掛け合わせる狙いがはっきり出ています。

シルクホースクラブ(0頭)

2026年度のシルクホースクラブに、ブリックスアンドモルタル産駒の募集はありません。

そのほかのクラブ(7頭)

クラブ募集馬母父生産牧場一口価格
G1サラブレッドクラブエレヴァテッツァの2025ディープインパクト白老ファーム75万円(募集終了)
G1サラブレッドクラブパララサルーの2025ディープインパクト白老ファーム45万円(募集終了)
グリーンファームクライミングリリーの2025ディープインパクト社台ファーム12万円
東京サラブレッドクラブファビュラスギフトの2025エイシンフラッシュ白老ファーム5万円
ウインレーシングクラブフェイブルネージュの2025ディープインパクトコスモヴューファーム5万円(募集終了)
ウインレーシングクラブフライングレディの2025ディープインパクトコスモヴューファーム4万円
広尾サラブレッド倶楽部エピファレーヌの2025エピファネイア桑田牧場1.7万円

※募集状況は変動します。最新の情報は各クラブの公式サイトでご確認ください。

12頭中6頭が母父ディープインパクト。生産界がこの種牡馬に求めている役割が、はっきり数字に出ています。

出資判断のヒントとまとめ

  • 数字の現在地…累計勝馬率31.0%・EI0.71。ただし2026年は14位・EI1.07で、EIは4年連続改善中です
  • 価格は下降、実績は上昇…種付料600万円(5年連続)→ 400万円 → 200万円。一方で産駒成績は上がり続けています。この2つのねじれが最大の狙い目です
  • 2026年度の募集馬は600万円時代の配合…生産者が高い種付料を払って生ませた世代です
  • 適性…芝67%・平均勝ち距離1,756m。中距離が中心。ただしGI馬アンモシエラはダート
  • 2歳から動ける…京王杯2歳S、サウジアラビアロイヤルCなど2歳重賞の勝ち馬が出ています
  • クラブ馬に実績あり…ゲルチュタール(サンデーレーシング)、クランフォード(ロードHC)、社台レースホースの2頭など、3クラブ系での成功例が複数
  • 血が重ならない…Storm Cat系。母父ディープインパクトとの異系配合が主流の使われ方です
  • 向いている人…評価が下がっているうちに、上昇中の実績を取りにいきたい人。芝の中距離で息の長い活躍を期待したい人

父の産駒傾向を横断で比較したい方は種牡馬考察まとめをご覧ください。

2026年度の募集馬については、サンデーサラブレッドクラブ募集馬一覧シルクホースクラブ募集馬一覧もあわせてどうぞ。

あわせて読みたい種牡馬考察

更新履歴

  • 2026年8月22日…新規公開(2026年8月時点のデータ・2026年度募集馬に対応)
  • 2026年8月22日…訂正:繋養先を社台スタリオンステーションと記載していましたが、2025年12月3日にレックススタッドへ移動しています。お詫びして訂正します。

出資馬選びに迷ったら

「この父の産駒はどう走るのか」を、産駒成績データ・勝ち上がり率・活躍馬・各クラブの募集状況までまとめています。データは定期的に更新中です。

【種牡馬考察まとめ】一口馬主のための種牡馬ガイド(28本を目的別・データ順に整理)

  • 「まず1勝してほしい」「クラシックを夢見たい」など目的別のおすすめ種牡馬
  • 2026年リーディング順の種付料・勝ち上がり率・EI比較表
  • 産駒デビュー前の種牡馬(イクイノックスほか)の募集状況

クラブ別の募集馬検討や見学ツアーのレポートは 一口馬主カテゴリ にまとめています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA