【最新版】シルバーステート産駒の特徴と評価|成績・傾向・活躍馬と一口出資の考え方

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はじめに

シルバーステートは、通算5戦4勝、重賞を一度も走らないまま引退したディープインパクト産駒です。それでいて種牡馬として成功し、2026年のリーディング12位まで来ています。競走成績と種牡馬成績がこれほど乖離した例は多くありません。

幻の名馬」と呼ばれた理由は、勝った4戦すべてが持ったままの楽勝だったこと、そして2度の屈腱炎でその能力を出し切れずに終わったことにあります。本記事では現役時代の来歴を1年ずつ追ったうえで、種牡馬入りの経緯・種付料の乱高下・産駒データ・各クラブの募集馬までをまとめます。

現役時代の戦績と評価

シルバーステートの競走成績は通算5戦4勝、獲得賞金5,158万円。最高格付けの勝ち鞍は1600万下(現3勝クラス)の垂水ステークスで、重賞には一度も出走していません。それでも種牡馬入りできたのは、負けたのがデビュー戦の1回だけで、しかもその1回もハナ差だったからです。

デビューまで — G1サラブレッドクラブの1口250万円

2013年5月2日、北海道安平町のノーザンファームで誕生。父ディープインパクト、母シルヴァースカヤ(母父Silver Hawk)という配合です。母は米国産の輸入繁殖牝馬。

G1サラブレッドクラブ(G1レーシング)で1口250万円・40口、総額1億円で募集され、栗東の藤原英昭厩舎へ。1億円という価格は、当時のディープインパクト産駒への期待の高さを示しています。

2歳(2015年)— デビュー戦のハナ差2着から2連勝

日付レース距離人気着順鞍上メモ
2015/07/11中京・2歳新馬芝1600m1番人気2着福永祐一生涯唯一の敗戦(0秒0差)
2015/07/25中京・2歳未勝利芝1600m1番人気1着福永祐一2着に0秒8差
2015/10/17京都・紫菊賞(500万下)芝2000m1番人気1着福永祐一上がり32秒7

デビュー戦はハナ差の2着。これが生涯で唯一の敗戦になります。次走の未勝利戦を0秒8差で圧勝すると、秋の紫菊賞では上がり32秒7という末脚で連勝。

2歳時は3戦2勝。クラシック候補として翌春が待たれる立場でした。

3歳(2016年)— 左前脚の屈腱炎で全休

しかし2016年1月21日、左前脚の屈腱炎を発症していることが発表されます。屈腱炎は競走馬にとって最も重い故障のひとつで、復帰までに1年以上を要します。

クラシックはもちろん、3歳シーズンは1戦も走れないまま終わりました

4歳(2017年)— 1年7か月ぶりの復帰から2連勝

日付レース距離人気着順鞍上メモ
2017/05/20京都・オーストラリアT(1000万下)芝1800m1番人気1着福永祐一1年7か月ぶりの実戦/逃げ切り3馬身差
2017/06/24阪神・垂水S(1600万下)芝1800m1番人気1着福永祐一逃げて0秒2差/4連勝

復帰戦のオーストラリアトロフィーは、逃げて3馬身差の楽勝。続く垂水ステークスも逃げ切って連勝を4に伸ばしました。ここまで来ればオープン入り、そして重賞は目前でした。

のちに優駿スタリオンステーションの関係者は「勝利した4戦はすべてノーステッキで持ったままの楽勝。そのレースぶりに底知れぬ能力を感じました」と振り返っています。4歳時は2戦2勝

引退 — 2017年11月22日、今度は右前脚

秋の重賞に向けて調整が進むなか、8月30日の調教後に右前脚の違和感が見られました。精密検査の結果、今度は右前脚に屈腱炎。復帰には1年以上かかる見込みと診断されます。

2017年11月22日、現役引退が発表されました。5歳を迎えることなく、重賞に一度も出走しないままターフを去っています。

通算成績は5戦4勝[4-1-0-0]着外が一度もないという、極端に短くて濃いキャリアでした。

年齢別サマリー

年齢(年)戦績主な成績
2歳(2015年)3戦2勝新馬2着(0秒0差)/未勝利0秒8差/紫菊賞は上がり32秒7
3歳(2016年)出走なし左前脚の屈腱炎で全休
4歳(2017年)2戦2勝オーストラリアT(1000万下)/垂水S(1600万下)
通算5戦4勝重賞出走なし・着外なし

種牡馬入りの背景

2018年、優駿スタリオンステーションで種付料80万円から

引退後、北海道新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬入り。社台スタリオンステーションではありません。初年度の種付料は受胎条件80万円(フリーリターン特約付)という、きわめて控えめな設定でした。

重賞未勝利の馬に高い種付料はつけられません。しかし初年度に191頭を集めています。これは「ディープインパクト産駒で、あの内容の勝ち方をした馬」という評価が、価格の安さと噛み合った結果です。安く付けられるディープインパクト後継という立ち位置が、多くの生産者にとって現実的な選択肢になりました。

2022年、150万円から600万円へ — 4倍の跳ね上がり

潮目が変わったのは2021年11月、初年度産駒のウォーターナビレラがファンタジーS(GIII)を勝ったときです。翌2022年、彼女は桜花賞で2着に入りました。

この結果を受けて、2022年の種付料は150万円から一気に600万円へ引き上げられます。実に4倍。それでも200頭が集まりました。

ただしその後は、600万円 → 500万円 → 500万円 → 2026年は350万円と下降しています。頭数も200頭から88頭まで減りました。GI馬がまだ出ていないことが、この調整の理由です。

種付け料と種付け頭数の推移

年度供用年数種付料種付け頭数登録頭数代表産駒
2018年1年目80万円191頭116頭セイウンハーデス
2019年2年目100万円157頭91頭メタルスピード
2020年3年目120万円165頭104頭ラヴァンダ
2021年4年目150万円138頭81頭ランスオブカオス
2022年5年目600万円200頭133頭ゴッドバロック
2023年6年目600万円139頭88頭アンムート
2024年7年目500万円103頭59頭
2025年8年目500万円88頭
2026年9年目350万円

この表は種牡馬の評価がどう動くかの教科書のような推移です。安値で数を集めた1〜4年目、実績が出て4倍になった5年目、そしてGI馬が出ないまま調整された7年目以降。2026年度の募集馬(2025年産)は、種付料500万円だった2024年の配合にあたります。

シルバーステート産駒の最新成績データ

JRAでの年度別成績(2026年8月現在)

年度リーディング順位出走頭数勝馬頭数勝馬率EI入着賞金代表馬
2026年12位188頭43頭22.9%0.909億2,803万円アスクナイスショー
2025年14位200頭40頭20.0%0.8811億7,492万円ラヴァンダ
2024年24位180頭37頭20.6%0.799億4,410万円リカンカブール
2023年20位170頭38頭22.4%0.9410億7,089万円セイウンハーデス
2022年27位135頭33頭24.4%0.796億9,415万円ウォーターナビレラ
2021年59位62頭12頭19.4%0.632億4,768万円ウォーターナビレラ
累計454頭146頭32.2%0.7850億5,980万円セイウンハーデス

リーディングは12〜14位で安定していますが、EIは0.78〜0.94と1.00を超えていません。これは「頭数は多く、賞金の総額も稼ぐが、1頭あたりの効率は平均以下」という意味です。層は厚いが突き抜けた1頭が出ていないという現状が、数字にそのまま出ています。

芝とダートの内訳

項目ダート
出走回数2,526戦931戦
勝利回数191勝52勝
勝率7.6%5.6%
平均勝ち距離1,708.9m1,512.5m

出走の73%が芝で、勝率も芝のほうが高い。父ディープインパクト譲りの芝向き種牡馬です。ダートも一定数走りますが、主戦場は芝の1600〜1800mと見てよいでしょう。

シルバーステート産駒の主な活躍馬

馬名生年母父馬主・クラブ戦績獲得賞金主な勝ち鞍
セイウンハーデス2019マンハッタンカフェ西山茂行19戦5勝2億3,103万円2023年 七夕賞(GIII)
ラヴァンダ2021ベーカバド森永聡21戦4勝2億2,221万円2025年 府中牝馬S(GII)
メタルスピード2020ShamardalHimRockRacing40戦4勝1億4,803万円2026年 幕張S(3勝クラス)
ランスオブカオス2022ローエングリン五影慶則11戦3勝1億3,662万円2025年 チャーチルダウンズC(GIII)
リカンカブール2019Zoffanyラ・メール21戦5勝1億2,804万円2024年 中山金杯(GIII)
ウォーターナビレラ2019キングヘイロー山岡正人14戦3勝1億2,791万円2021年 ファンタジーS(GIII)/2022年 桜花賞2着
ショウナンバシット2020Medaglia d'Oro国本哲秀20戦5勝1億1,979万円2024年 札幌日経オープン(L)
アスクナイスショー2021アドマイヤムーン廣崎利洋16戦5勝1億1,623万円2026年 七夕賞(GIII)
バトルボーン2019ジャングルポケットサンデーレーシング12戦5勝1億861万円2024年 メトロポリタンS(L)

重賞勝ち馬は複数出ていますが、すべてGII・GIIIまで。最高成績はウォーターナビレラの2022年桜花賞2着です。もうひとつ特徴的なのは、活躍馬の多くが個人馬主・小規模牧場の生産馬だという点。種付料が安かった時期の配合が、そのまま成績に出ています。

データから見えてきた産駒の傾向

  • 層は厚いが、突き抜けた1頭がいない…リーディングは12〜14位で安定。しかしEIは0.78〜0.94と一度も1.00を超えていません。GI馬もまだ出ていません
  • 勝ち上がり率は32.2%…454頭出走/146頭勝馬。悪くはありませんが、上位種牡馬(40%前後)と比べるとやや物足りない水準です
  • 芝の中距離が主戦場…出走の73%が芝、平均勝ち距離1,709m。父自身も1600〜2000mを走りました
  • ダートもこなす…931戦52勝(5.6%)。ランスオブカオスがチャーチルダウンズC(GIII・ダート)を勝っており、ダートの重賞級も出ます
  • 古馬になって伸びる…セイウンハーデス(4歳で七夕賞)、リカンカブール(5歳で中山金杯)、ラヴァンダ(4歳で府中牝馬S)、アスクナイスショー(5歳で七夕賞)。重賞制覇は4歳以降が中心で、明確な晩成型です
  • タフに走る…メタルスピードの40戦、ラヴァンダの21戦など、数を使える産駒が多いのも特徴。父が屈腱炎で終わった反動のようですが、産駒は頑健です
  • 母父の幅が広い…活躍馬の母父はマンハッタンカフェ、ベーカバド、キングヘイロー、Zoffany、ローエングリンとバラバラ。特定の配合に依存していないぶん、母系での絞り込みは効きにくいタイプです

シルバーステート産駒についてよくある質問

Q. 重賞未勝利の馬がなぜ種牡馬になれたのか

A. 負けたのが1回だけ、しかもハナ差だったからです。勝った4戦はいずれも持ったままの楽勝で、上がり32秒7を記録したレースもありました。加えて父がディープインパクト、母が米国産の良血。「能力を出し切る前に故障した」と評価されたケースです。ただし初年度種付料80万円という設定が、その評価の限界も示しています。

Q. 勝ち上がり率はどのくらい?

A. 累計で32.2%(454頭出走/146頭勝馬)です。平均的な水準で、上位種牡馬の40%前後には届きません。「まず1勝」の確度で選ぶ種牡馬ではないと考えたほうが実態に合っています。

Q. GI馬はまだ出ていない?

A. 出ていません。最高はウォーターナビレラの2022年桜花賞2着です。重賞勝ちは9つありますが、いずれもGII・GIIIまで。EIが1.00を超えないのも、この「頭打ち感」と対応しています。

Q. 2歳から走る?

A. あまり期待しないほうがいいです。2歳重賞を勝ったのはウォーターナビレラ(ファンタジーS)くらいで、他の重賞勝ち馬はセイウンハーデス4歳、リカンカブール5歳、ラヴァンダ4歳、アスクナイスショー5歳とすべて古馬になってから。晩成型と割り切る必要があります。

Q. 一口出資ではどう考えればいい?

A. 長く走らせて回収するタイプです。産駒は数を使えて頑健、古馬になって伸びる。逆に、2〜3歳で大きな夢を見る種牡馬ではありません。募集価格が抑えめであることが前提の出資対象と考えるのが現実的です。

社台・サンデー・シルクの募集馬(2026年度募集・2025年産)

シルバーステート産駒の3クラブでの募集は社台1頭・サンデー2頭・シルク2頭です(2026年8月時点)。

社台サラブレッドクラブ(1頭)

募集馬母父生年月日生産牧場予定厩舎募集総額一口価格
エマソングの2025Unbridled's Song3/26生社台ファーム秋山真一郎2,000万円50万円

サンデーサラブレッドクラブ(2頭)

募集馬母父生年月日生産牧場予定厩舎募集総額一口価格
ソシアルクラブの2025キングカメハメハ3/17生ノーザンファーム田中博康5,000万円125万円
モンファボリの2025Frankel2/26生ノーザンファーム橋口慎介5,000万円125万円

シルクホースクラブ(2頭)

募集No募集馬母父予定厩舎生産牧場一口価格
33サラーブの25ルーラーシップ宮田敬介ノーザンファーム100,000円
34クインアマランサスの25キングカメハメハ和田正一郎ノーザンファーム70,000円

そのほかのクラブ(4頭)

クラブ募集馬母父生産牧場一口価格
G1サラブレッドクラブキティマリオンの2025Iffraaj追分ファーム100万円(募集終了)
G1サラブレッドクラブメダリアダムールの2025Medaglia d'Oro追分ファーム60万円(募集終了)
ローレルクラブマチャプチャレの2025ヨハネスブルグチェスナットファーム10万円
ユニオンオーナーズクラブアサカラヴァーズの2025キングヘイロー協和牧場8万円

※募集状況は変動します。最新の情報は各クラブの公式サイトでご確認ください。

シルバーステート自身がG1サラブレッドクラブの募集馬(1口250万円)だった縁もあり、同クラブには今年も2頭が設定されています(いずれも募集終了)。

出資判断のヒントとまとめ

  • 数字の現在地…累計勝馬率32.2%・EI0.78。リーディングは12〜14位で安定していますが、EIは6年連続で1.00未満です
  • まだGI馬が出ていない…最高はウォーターナビレラの2022年桜花賞2着。重賞9勝はすべてGII・GIIIです
  • 晩成型…重賞勝ちは4〜5歳が中心。2〜3歳での結果を求める出資には向きません
  • タフさが武器…数を使える産駒が多く、長く走ります。長期保有で回収を狙う設計と相性がいいタイプです
  • 適性…出走の73%が芝、平均勝ち距離1,709m。ダートの重賞級も出ます
  • 価格は下降局面…種付料は2023年600万円 → 2026年350万円。2026年度の募集馬は500万円時代(2024年)の配合です
  • 向いている人…募集価格の手ごろな馬で、古馬になってからの活躍を待てる人

父の産駒傾向を横断で比較したい方は種牡馬考察まとめをご覧ください。

2026年度の募集馬については、サンデーサラブレッドクラブ募集馬一覧シルクホースクラブ募集馬一覧もあわせてどうぞ。

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