一口馬主の出資馬が引退したら|抹消給付金・牝馬買戻し・地方転籍の精算ルールをクラブ別に比較【出資後ガイド④】

募集馬見学ツアー

出資馬の引退は、一口馬主をやっていれば必ず来る瞬間です。ただ、引退の知らせを受けたあとに「誰が決めたのか」「お金はいくら戻るのか」「牝馬はどこに行くのか」「地方に転籍するとどうなるのか」は、クラブごとに規約で細かく決まっていて、募集時にはほとんど意識しない部分でもあります。

出資後ガイドの4本目は、この「引退と精算」をテーマに、主要17クラブの規約・FAQ・費用ページとJRAの公式資料を一次情報として読み比べました。確認日は2026年10月3日。前回の競走馬保険と見舞金と同じく、数値には出典と条番号を添え、確認できなかったものは「未確認」としています。

この記事でわかること

  • 引退を決めるのはクラブ法人で、会員は関与できないこと。牝馬は6歳3月末が標準の運用終了期限
  • 引退の5パターン(牝馬の買戻し/牡馬の売却・乗馬/種牡馬入り/地方転籍/死亡・能力喪失)とそれぞれのお金の流れ
  • JRAの抹消給付金・付加金の2026年度完全表(出走回数×抹消時期で45〜245万円)と、3歳の「4/24・6/5・7/24」で金額が下がる理由
  • 牝馬買戻し率の3グループ(10%/5%/無償)と、種牡馬売却手数料の3方式(累進10〜40%/クラブ40%/会員60%)
  • 地方転籍の2方式(継続運用型 vs 再ファンド型)と、JRAに戻るための収得賞金の壁
  • 募集4,000万円・500口の馬が3歳9月に未勝利で引退したとき、牝馬・牡馬で1口いくら戻るかの試算

引退は誰が決めるのか

どのクラブの規約も構造は同じで、引退(JRA・NARの登録抹消や売却)を決めるのは馬主であるクラブ法人です。会員は匿名組合の出資者なので経営判断には参加できず、クラブ法人の判断を愛馬会法人経由で通知される立場になります。シルクの規約では「クラブ法人の適宜の判断により」、ロードでは「馬体状況及び競走成績等を考慮し、その所有権により引退・運用終了を決定」という書き方です。

項目標準的な規定例外
引退の決定権クラブ法人(調教師・提供牧場と協議)。会員の関与なし—
牝馬の運用終了期限6歳3月末(繰上げ・延長あり)ユニオン・ターファイト:6歳2月末/ウイン(2014年版規約):6歳4月末
牡馬・せん馬の期限定めなし(走れる限り現役)—
引退後の処分売却(オークション・種牡馬)、提供牧場への買戻し、乗馬・功労馬としての無償供与。いずれもクラブ法人判断—
引退後の行き先の公表キャロット:所有権移転後は原則非公表(別途「生涯愛馬プロジェクト」で卒業馬の近況を発信)。広尾:原則案内しないシルク等:方針の明記は未確認
各クラブ規約・FAQより

牝馬に「6歳3月末」の期限があるのは、繁殖牝馬として提供牧場に戻す前提で募集されているからです。これが次に説明する「買戻し特約」につながります。

引退の5パターンとお金の流れ

パターン典型的な馬出資者に戻るお金備考
① 牝馬の買戻し(繁殖入り)牝馬の大半抹消給付金+買戻し代金(募集総額の10%または5%)+保険解約返戻金提供牧場が繁殖として引き取る。死亡・能力喪失時は買戻しなしの規定が多い
② オークション売却・乗馬転用未勝利〜条件クラスの馬。牡馬・せん馬が中心だが牝馬も出品される抹消給付金+売却代金(手数料控除後)。乗馬・功労馬として無償供与の場合は売却代金ゼロ楽天サラブレッドオークション等。地方で走る前提の落札者が多い。ノーザン系の牝馬は提供牧場が買い戻したあと、ミックスセール等の繁殖牝馬セールに出されることが多いため、クラブ名義でサラオクに出るのは牡馬・せん馬が中心になる
③ 種牡馬入り重賞勝ち馬など一部抹消給付金+種牡馬売却代金(クラブ手数料控除後)手数料は累進10〜40%か、クラブ40%・会員60%の2方式
④ 地方転籍3歳未勝利終了後の馬、3勝クラス以上で地方の方が稼げる馬継続運用型:地方の賞金を分配、JRA再登録を目指す。再ファンド型:一度精算して再出資クラブで方式が分かれる(後述)
⑤ 死亡・競走能力喪失事故・疾病見舞金+保険金(前回記事参照)。抹消給付金は1〜4号・13号見舞金の受給馬には出ない牝馬の買戻しも原則なし
引退パターン別のお金の流れ

抹消給付金・付加金|2026年度の完全表

JRAの競走馬登録を抹消するとき、中央競馬馬主相互会から支給されるのが「抹消給付金」(出走回数で決まる基本額)と「付加金」(抹消時の年齢・時期で決まる加算)です。クラブが受け取り、出資口数で按分して分配されます。広尾・ノルマンディー・ウイン・キャロット・社台グループオーナーズの掲載表で照合し、数値はすべて一致しました。

出走回数基本額2歳〜3歳4/243歳4/25〜6/53歳6/6〜7/243歳7/25〜12/314歳〜5歳6/55歳6/6〜12/316歳以上
付加金—1151107045703015
5走以上130245240200175200160145
4走115230225185160185145130
3走110225220180155180140125
2走7018518014011514010085
1走45160155115901157560
未出走30145140100751006045
競走馬登録抹消給付金・付加金(2026年度、単位:万円、基本額+付加金の合計)。出典:広尾サラブレッド倶楽部ほか各クラブ掲載表

この表でいちばん面白いのは3歳の春に段階的に下がるところです。同じ5走の馬でも、3歳4月24日までに抹消すれば245万円、6月6日以降なら200万円、7月25日以降なら175万円。差は70万円。クラブが「3歳春の未勝利戦で見込みがなければ早めに引退」と判断する背景には、この付加金の逓減があります(もちろん主因は維持費と馬房の問題ですが)。

支給されないケース

  • 直近の登録期間中にJRAの厩舎に在厩した日数が通算60日未満(5〜12号・18号見舞金による休養中の抹消は除く)
  • 過去に抹消給付金・付加金を受給したことがある(地方から再登録して2回目の引退など)
  • 1〜4号・13号の見舞金(死亡・安楽死・競走能力喪失)の対象となった馬
  • 初出走でタイムオーバーになった場合、その出走は「出走」に数えない(2019年9月7日以降)

牝馬の買戻し特約|10%・5%・無償の3グループ

牝馬は引退時に提供牧場(生産者)が買い戻す特約がほぼ全クラブにあり、その代金が出資者に分配されます。率は募集総額に対して10%か5%、一部に無償。「競走成績にかかわらず」買い戻すのがポイントで、未勝利でも重賞馬でも同じ率です。

買戻し率クラブ補足
募集総額の10%シルク、サンデー、社台、G1、キャロット、ロード、ノルマンディー、インゼル、DMM、ユニオン、ウイン税込(サンデー・社台・キャロット・ユニオン等)か税抜(ノルマンディー、ロードは10%から消費税控除、DMMは出資金税抜ベース)かで手取りが少し違う
募集総額の5%広尾、YGG、ターファイト、京都TC京都TCは「5%かオークション落札価格の高い方」
無償広尾の特定募集馬、DMM・YGGの無償供与条件付き馬、ターファイトの再募集馬(地方→中央)募集時のカタログに条件が明記される
牝馬買戻し特約のクラブ別比較(各クラブ規約より)

例外もあります。死亡・競走能力喪失の場合は買戻しなし(ロード・サンデー系・シルク等)、乗馬転用時も対象外(ロード)、事故見舞金を受け取った場合は買戻し額から見舞金を控除し、見舞金が上回れば売却代金なし(広尾・ラフィアン・京都TC)。ロードは「ケイアイファームが希望した場合」という条件付きで、牧場側が繁殖として要らないと判断すれば第三者売却になります。

オークション売却と種牡馬入り|手数料の仕組み

項目標準的な規定クラブ別の違い
オークション(楽天サラブレッドオークション等)売却申込料44,000円(税込)+売却手数料5%(うち1%がクラブ法人の営業者報酬)を売却代金から控除シルク・ノルマンディー・インゼル・YGGで一致。インゼルは事務手数料22,000円が追加。ロード・DMM・ユニオンは手数料率の記載なし
種牡馬売却・賃貸(方式A:累進)純利益(売却代金−経費)が500万円超の部分に10〜40%の累進。サンデー系の内訳:500万円以下0%/〜1,000万円10%/〜5,000万円20%/〜2億円30%/2億円超40%シルク、サンデー、社台、G1、キャロット、インゼル、DMM。キャロットは競走馬売却も同率
種牡馬売却(方式B:定率)売却代金の40%がクラブ報酬、会員60%ロード、ウイン、YGG、京都TC(利益の40%)、広尾・ユニオン・ターファイト(会員60%相当)
乗馬・功労馬無償供与(売却代金ゼロ)。クラブ法人判断シルク11.⑸②、ノルマンディー12(5)②、DMM、YGG等に明記
再登録予定の地方売却ロード:牡馬10万円(税込)で売却→再ファンドターファイト:未勝利馬の地方第三者売却は一律20万円
オークション・種牡馬売却のルール(各クラブ規約より)

出資者の肌感覚で言えば、未勝利〜1勝クラスの馬がオークションに出ると落札価格は数十万〜数百万円。牡馬・せん馬だけでなく牝馬も出品されますが、ノーザン系クラブの牝馬は買戻し特約で提供牧場に戻ったあと、牧場名義でミックスセールなどの繁殖牝馬セールに回ることが多く、クラブ名義でサラオクに出るのは牡馬・せん馬が中心です(シルクの規約でも、買戻し牝馬はオークション前日に提供牧場へ譲渡され、出品者は牧場になると定めています)。4,000万円で募集された馬でも、引退時に戻る売却代金は募集価格の1〜5%程度に収まるのが普通です。種牡馬入りは別世界ですが、その場合もクラブの取り分が最大40%ある点は知っておく価値があります。

引退精算|何がいつ戻るのか

引退が決まると、クラブは「引退精算分配」(運用終了精算)を行います。含まれる項目はどのクラブもほぼ同じで、違いは時期と初回金の返還です。

精算に含まれる項目内容
抹消給付金・付加金上の表のとおり(在厩60日以上)
売却代金買戻し代金、オークション落札代金、種牡馬代金(手数料控除後)
保険金・解約返戻金年払いした保険料の未経過分が戻る。死亡・能力喪失なら保険金
事故見舞金未分配分があれば
維持費精算金固定制クラブは未使用分、実費制クラブは不足分の追加請求
初回金・預り金の返還サンデー・社台:維持費初回金25,000円/口、ノルマンディー:70万円/頭、ラフィアン:預り金80万円/頭、DMM:未使用預託金
年次分配の繰上げ月次で源泉徴収された税の精算(JRA源泉・クラブ法人源泉)を引退時にまとめて
消費税精算金出資金に含まれる消費税の精算
引退精算分配の構成要素
クラブ精算分配の時期
ロード運用終了月の翌々月25日
DMM引退月の翌々月に引退精算分配、翌年に年次分配で契約終了
ウイン引退日の属する月の2か月後末日
ユニオン引退月から3か月後の30日
サンデー・社台最後の維持費出資金の自動振替月の末日
広尾引退精算書は引退月の翌々月中旬発送
ターファイト引退月から2か月以内目処
YGGオークション決済日の翌日
シルク・キャロット・ノルマンディー・インゼル・京都TC規約に具体的な月数の記載なし(ノルマンディーの例示:11月抹消→1月末分配)
精算分配の時期(各クラブ規約・FAQより)

共通して言えるのは、引退の知らせから実際にお金が戻るまで2〜3か月かかること。その間も最終月の維持費や振込手数料は発生し、未払いの出資金があれば精算金から充当されます。

地方転籍|継続運用型と再ファンド型

3歳未勝利戦が終わった馬や、中央では頭打ちでも地方なら稼げそうな馬は、地方競馬に転籍することがあります。ここでクラブの方式が2つに分かれます。

方式仕組みクラブ出資者への影響
継続運用型クラブ法人が地方の馬主登録も持ち、JRA登録を抹消して地方に移しても匿名組合契約はそのまま継続。維持費を払い続け、地方の賞金が分配されるシルク、サンデー、社台、G1、キャロット、ノルマンディー、インゼル、DMM、ユニオン、ウイン、YGG維持費は地方向けに減額されることが多い(ユニオン:JRA60万→NAR50万円/頭、京都TC:45万円)。保険は解約されるクラブあり(DMM・YGG)
再ファンド型いったんファンドを精算して所有権を第三者(クラブ役員の地方馬主や提供牧場)に移し、JRA再登録の条件をクリアしたら旧出資者に優先的に再募集ロード、広尾、ターファイト地方在籍中の賞金は出資者に入らない(ターファイトは地方馬主に帰属と明記)。再出資額はロード2016年約款で牡馬10万円・牝馬は募集価額の10%(現行版は未確認)、広尾は従前と同一口数
地方転籍の2方式

JRAに戻るための条件(収得賞金の壁)

地方からJRAに再登録して出走するには、JRAの競馬番組一般事項に定められた条件があります。2026年度の規定では、登録申請時の収得賞金が2歳150万円以下・3歳300万円以下・4歳以上500万円以下の地方馬は出走できません。つまり地方で「それなりに稼ぐ」必要があり、未勝利で転籍した3歳馬なら、年内に地方で300万円を超える収得賞金を積む必要があります。

  • 例外:認定競走で1着になり、3歳12月末までに最初の登録申請をする場合
  • 申請日の前日から遡って6か月間出走していない馬は出走不可
  • 3歳7月1日以降に申請する地方馬のうち未出走馬は出走不可

ユニオンの規約が転籍の条件を「3勝クラス以上で転籍する場合」と「未出走・未勝利馬がJRA再登録条件のクリアを目的とする場合」の2つに限定しているのは、この要件を踏まえたものです。

試算|3歳9月に未勝利で引退したら1口いくら戻るか

前回と同じモデル(募集4,000万円・500口、1口8万円)で、3歳未勝利戦が終わった9月に引退した場合を計算します。出走5回、JRA在厩60日以上、見舞金なし、牝馬買戻し10%、保険は3歳加入額70%・料率3%で年払い済みとします。

項目牝馬(買戻し10%)牡馬(オークション100万円で落札)牡馬(乗馬として無償供与)
抹消給付金+付加金(5走・3歳7/25〜)175万円175万円175万円
売却代金400万円(4,000万円×10%)100万円−申込料4.4万円−手数料5万円=約90.6万円0円
保険解約返戻金(概算)約21万円(84万円の未経過3か月分)約21万円約21万円
合計約596万円約287万円約196万円
1口あたり約11,900円約5,700円約3,900円
出資8万円に対して約15%約7%約5%
試算(手数料・源泉税は簡略化。実際は最終月の維持費や振込手数料が差し引かれる)

同じ条件でサンデーの募集1億円・40口(1口250万円)なら、牝馬は175万+1,000万+返戻金約52万円≒1,227万円で1口約30万円(約12%)。40口クラブの牝馬は「10%買戻し」の絶対額が大きいので、未勝利でも1口30万円前後は戻ります。

この試算からわかること。牝馬は未勝利でも出資額の1割強が戻り、牡馬は5〜7%。「牝馬は買戻しがあるぶん損失が小さい」というのは一口馬主界隈でよく言われることですが、規約の数字で見るとそのとおりです。ただし差は1口数千円〜数万円なので、牝馬・牡馬の選択を買戻しだけで決める理由にはなりません。

引退後の行き先と引退馬支援

規約上、引退馬の所有権はクラブ法人から第三者(提供牧場・落札者・乗馬クラブなど)に移り、以後の動向はクラブの管理外になります。キャロットは「所有権移転後は先方への配慮で原則非公表」「引き取り不可」とFAQに明記しつつ、2023年12月に「生涯愛馬プロジェクト」(珠洲ホースパーク)を開設して卒業馬の近況を発信しています。広尾も「原則として引退後の行き先や動向の案内は行っていない」としています。

出資者として引退馬に関われる窓口は、クラブの外にあります。

  • JRA「引退競走馬への取組み」:2024年設立のTAW(一般財団法人Thoroughbred Aftercare and Welfare)、引退競走馬杯RRC、養老余生支援事業、一時預入れ施設(宇都宮)など。馬主向けの相談窓口もTAWが担当
  • 認定NPO法人引退馬協会「フォスターペアレント制度」:複数の里親会員で1頭を支える仕組み。2024年1月時点で約1,500人・49頭
  • クラブ独自:キャロット「生涯愛馬プロジェクト」、各クラブの功労馬繋養支援

出資者としての見方

観点規約から言えること
引退の決定会員は関与できない。「もう少し走らせてほしい」は通らない前提で出資する
牝馬 vs 牡馬牝馬は買戻し(10%または5%)があるぶん未勝利引退時の戻りが大きい(買戻し後に繁殖セールへ回るかは牧場次第で、出資者には関係しない)。6歳3月末で強制的に終わるので、古馬で長く楽しむなら牡馬
クラブ選び買戻し10%+累進手数料(社台系・シルク・キャロット等)か、買戻し5%+定率40%(広尾・YGG・京都等)か。前者は未勝利引退に有利、後者は種牡馬入りした場合にクラブ取り分が重い
地方転籍継続運用型なら地方の賞金も分配される。再ファンド型(ロード・広尾・ターファイト)は地方在籍中の賞金は入らず、戻ってきたら再出資が必要
タイミング3歳4/24・6/5・7/24で付加金が下がる。クラブが春先に早期引退を選ぶのには合理性がある
お金が戻る時期引退から2〜3か月。年次分配の精算まで含めると翌年4月頃まで続く
出資者目線の整理

よくある質問

Q. 引退に反対したり、引き取ったりできますか?

できません。引退はクラブ法人の判断で、会員は匿名組合の出資者として分配を受ける立場です。引き取りについてもキャロットは「引き取り不可」と明記しており、他クラブも同様の扱いです。引退馬に関わりたい場合は、引退馬協会のフォスターペアレント制度など、クラブの外の仕組みを使うことになります。

Q. 抹消給付金はいくらもらえますか?

出走回数で決まる基本額(未出走30万〜5走以上130万円)に、抹消時の年齢・時期で決まる付加金(15〜115万円)を加えた45〜245万円です。JRAの厩舎に通算60日以上在厩していること、過去に受給していないこと、死亡・能力喪失の見舞金を受けていないことが条件です。

Q. 牝馬の買戻し代金は誰が払うのですか?

募集時に馬を提供した牧場(生産者)です。「競走成績にかかわらず募集総額の10%(または5%)で買い戻す」という特約が募集時の契約に含まれていて、引退時にその代金がクラブ経由で出資者に分配されます。死亡や競走能力喪失で引退する場合は適用されないのが一般的です。

Q. 地方に転籍したら出資は終わりですか?

クラブによります。シルク・サンデー・キャロット・ノルマンディーなど多くのクラブは「継続運用型」で、匿名組合契約が続き、地方の賞金も分配されます。ロード・広尾・ターファイトは「再ファンド型」で、一度精算して所有権を移し、JRA再登録の条件(収得賞金2歳150万・3歳300万・4歳以上500万円超など)をクリアしたら旧出資者に再募集されます。

Q. 種牡馬になったら出資者はいくらもらえますか?

種牡馬としての売却代金(または賃貸料)からクラブの手数料を引いた額が分配されます。手数料は「純利益500万円超に10〜40%の累進」(社台系・シルク・キャロット等)か「売却代金の40%」(ロード・ウイン・YGG・京都TC等)。たとえば純利益3億円で売却された場合、累進方式なら手数料は9,350万円(500万〜1,000万円の10%+1,000万〜5,000万円の20%+5,000万〜2億円の30%+2億円超の40%)、定率方式なら1億2,000万円と差が出ます。

Q. 引退精算でお金を追加で払うことはありますか?

あります。最終月の維持費、実費制クラブでの維持費不足分、オークションの申込料(会員負担のクラブ)、振込手数料などが精算金から差し引かれ、精算金で足りなければ請求されます。固定制クラブや初回金・預り金を預けているクラブでは、逆に未使用分が返ってきます。

まとめ

  • 引退を決めるのはクラブ法人。牝馬は6歳3月末(ユニオン・ターファイトは2月末)が運用終了期限
  • 抹消給付金+付加金は45〜245万円。3歳の4/24・6/5・7/24で段階的に下がり、在厩60日未満・死亡/能力喪失見舞金受給馬は対象外
  • 牝馬買戻しは10%(シルク・社台系・キャロット・ロード・ノルマンディー・DMM・ユニオン・ウイン等)か5%(広尾・YGG・ターファイト・京都TC)。死亡・能力喪失時は適用なし
  • 牡馬のオークションは申込料44,000円+手数料5%。種牡馬は累進10〜40%か定率40%
  • 地方転籍は継続運用型(大半)と再ファンド型(ロード・広尾・ターファイト)。JRAに戻るには収得賞金2歳150万・3歳300万・4歳以上500万円超が必要
  • 4,000万円・500口の馬が3歳9月に未勝利で引退すると、牝馬で1口約12,000円、牡馬で約4,000〜6,000円が戻る

次の記事では、出資期間中の途中解約・退会・口数の譲渡がどう扱われるか(原則不可の規約と、強制退会時の持分の扱い)をクラブ別に整理する予定です。

更新履歴

  • 2026年10月3日:初版公開

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