ノーザンファームしがらきとは|設備・在厩馬・帰厩の目安【2026年最新】

募集馬見学ツアー

ノーザンファームしがらきは、滋賀県甲賀市信楽町にあるノーザンファームの外厩施設です。栗東トレーニングセンターから車で30〜40分という近さと、高低差39.7mの坂路を武器に、いまや日本競馬でもっとも多くの馬が経由する施設のひとつになっています。

2026年のクラシックを振り返ると、皐月賞と日本ダービーを制したロブチェン、大阪杯と天皇賞(春)を勝ったクロワデュノール、桜花賞のスターアニス——いずれもしがらきを使っていました。

この記事では、施設のスペック、どんな馬が行くのか、帰厩から出走までの実際の日数、そしてクラブの近況報告をどう読むかまでを、ノーザンファーム公式とJRAの規程、各種の取材記事にあたって整理しました。一口馬主として「しがらき在厩」という4文字から何を読み取れるか、が本題です。

ノーザンファームしがらきの基本情報

項目内容
正式名称ノーザンファームしがらき
所在地滋賀県甲賀市信楽町神山6-1
開場2010年秋
敷地約28ha(東京ドーム約6個分)
収容規模調教14厩舎・410馬房
坂路屋外800m直線/ニューポリトラック/高低差39.7m
周回コース屋外900m/ニューポリトラック
場長松本康宏(2010年の開場から)
スタッフ約150人(獣医師・装蹄師を含む)
担当トレセン栗東(約25km/車で30〜40分)
主な役割関西所属馬を中心とした入厩前の調整・リフレッシュ
見学クラブ会員向けに1日1組・最大3頭まで
ノーザンファーム公式「施設紹介」およびnetkeibaの取材記事をもとに作成。馬房数・坂路の距離・素材は公式の記載に準拠しています。

まず押さえておきたいのが「しがらきは調教施設であって、放牧地ではない」ということです。クラブの近況で「放牧に出ました」と書かれていても、しがらきにいる馬はたいてい坂路を登っています。ここを誤解すると、近況の読み方を丸ごと間違えます。

施設|主役は高低差39.7mの坂路

栗東坂路との比較

しがらきの看板は、なんといっても坂路です。数字をトレセンと並べると、この施設が何をしようとしているかがはっきりします。

項目ノーザンファームしがらきJRA栗東トレセン
全長800m1,085m
高低差39.7m32m
最大勾配8%(※公式記載なし)4.5%
素材ニューポリトラックウッドチップ
高低差はしがらきのほうが7.7m大きく、しかもそれを短い800mで登ります。※最大勾配8%はノーザンファーム公式には記載がなく、二次情報にもとづく数値です。

800mで39.7m登るというのは、1,085mで32m登る栗東よりはるかにきつい設計です。「トレセン以上の負荷をかけられる」と言われる根拠がここにあります。外厩でありながら、トレセンより厳しい調教ができてしまう。これが現代の外厩のありようを象徴しています。

坂路にはタイム自動計測装置が設置されているほか、netkeibaの取材によれば馬を感知するセンサーと3台のカメラが据えられており、映像は馬の動きだけでなく乗り手のフォーム分析にも使われています。設備で馬を鍛えるだけでなく、人を育てるために使っているわけです。

坂路以外の設備

設備内容確度
屋外周回コース900m/ニューポリトラック公式に記載
角馬場2面報道ベース
ウォーキングマシン各厩舎に完備(屋根付き)報道ベース
厩舎のミスト冷房各馬房に直接配管。厩舎内を1〜2℃下げる取材記事
放牧地あり報道ベース
プール/トレッドミル/屋内馬場公表資料では確認できませんでした未確認
公式に記載があるもの、報道でのみ確認できるもの、確認できなかったものを分けています。一部で「タペタ」と紹介されることがありますが、ノーザンファーム公式は周回コースを「ニューポリトラック」と記載しています。

意外に思われるかもしれませんが、プールやトレッドミル、屋内馬場の有無は公表資料では確認できませんでした。ネット上には「トレッドミル完備」と書かれた記事もありますが、公式・見学記・取材記事のいずれにも記載がないため、本記事では「未確認」としています。

「涼しい」という立地の価値

しがらきを語るとき必ず出てくるのが「涼しい」という評価です。ノーザンファームの獣医師は取材に対し、信楽を「関西で最も冷涼な土地」と表現しています。実際に気象庁アメダスの数字を並べてみます。

観測所標高7月平均気温8月平均気温8月の平均最高気温
信楽(甲賀市信楽町)265m23.5℃24.3℃30.0℃
大津(栗東の最寄りの平地)86m25.8℃27.1℃32.2℃
差+179m−2.3℃−2.8℃−2.2℃
アメダスの平年値ベース。関係者は「3〜5度低い」と語ることが多く、体感や日中の特定条件ではもっと差が出ると思われます。なお施設そのものの標高は公表されておらず未確認です。

月平均で2〜3℃の差。数字だけ見ると小さく感じますが、夏場のサラブレッドにとって2℃は大きい。近年は信楽でも35℃を超える日が珍しくなくなり、ノーザンファームは厩舎にミスト冷房を導入して厩舎内をさらに1〜2℃下げています。

どんな馬がしがらきに行くのか

原則は「ノーザンファーム生産 × 栗東所属」

生産者所属行き先
ノーザンファーム栗東ノーザンファームしがらき
ノーザンファーム美浦ノーザンファーム天栄
社台ファーム系—吉澤ステーブルWESTなど社台系の外厩
原則の振り分け。過去6年のデータでは、ノーザンファーム系と社台ファーム系で預託先の重複はほぼありません。

重要なのは、振り分けの軸がクラブではなく「生産者+所属トレセン」だという点です。キャロット、シルク、サンデー、社台レースホース——どのクラブの馬でも、ノーザンファーム生産で栗東所属ならしがらきに集まります。

これは見学制度からも裏が取れます。2019年までクラブごとに見学の時間帯を分けていたものが、「他クラブの馬を含めて最大3頭まで同時見学可」に変更されました。複数クラブの馬が同時に在厩しているからこその運用です。

例外①|美浦所属馬も来る

「美浦=天栄、栗東=しがらき」は原則にすぎません。美浦所属でありながらしがらきを使う馬は珍しくないのです。とくに堀宣行厩舎(美浦)が積極的に利用することで知られています。

馬名所属しがらき利用が確認できるレース
タスティエーラ美浦・堀宣行2023年 日本ダービー勝ち馬
フォルテアンジェロ美浦・上原佑紀2026年 日本ダービー(皐月賞は天栄、ダービーはしがらき)
関東馬が関西の大レースに遠征する際の中継地として使われるケースもあります。

逆のパターンもあります。2025年の天皇賞(秋)では、美浦・手塚貴久厩舎のマスカレードボールが天栄ではなく山元トレーニングセンターを使っていました。「所属トレセンから外厩を自動的に推測する」のは危険で、レースごとに確認するしかありません。

例外②|デビュー前の2歳馬もいる

しがらきは現役馬の外厩専用ではありません。ノーザンファーム公式の説明も「主に関西所属馬を中心に入厩前の調整、リフレッシュ等」となっており、デビュー前の2歳馬も在厩します。

JRA-VANの「2歳馬牧場リポート2026春」では、複数の2歳馬が3月30日時点で「しがらき在厩・入厩予定なし」と記載されていました。北海道(早来・空港)→ しがらき → 栗東 → デビューという経路が存在します。

「しがらき仕上げ」の中身

1厩舎=スタッフ6人・管理30頭

ノーザンファームの採用サイトに掲載されているしがらき調教厩舎長のインタビューによれば、1つの厩舎をスタッフ6人で回し、約30頭を管理しています。そして厩舎長は馬の出走可否の判断まで担います。

項目内容
1厩舎の体制スタッフ6人/管理約30頭
厩舎長の役割調教メニューの設計から出走可否の判断まで
健康チェック1日2回(午前の調教後と午後14〜16時)
午後のチェックの目的午前の調教で受けた故障の早期発見
メニュー設計どのコースを使うか、坂路は何秒で登るか、周回は何周か、どれくらいのペースか——を馬ごと・出走までの日数ごとに設計
ノーザンファーム採用サイトのしがらき調教厩舎長インタビューより。

松本康宏場長の言葉が、この施設の考え方を端的に表しています。「馬は携わる人間次第で変わります。施設が充実していても、人が未熟であれば意味がないんです」。高低差39.7mの坂路という派手なハードの裏に、こういう運用思想があります。

調教メニューの実例|ドウデュース(2022年7月)

抽象論では分かりにくいので、実際の近況報告を見てみます。2022年の日本ダービーを勝った直後、しがらきに在厩していたドウデュースの調教内容です。

項目内容
時期2022年7月20日(ダービー制覇の約2か月後)
メニュー周回コースでの乗り込み後、直線坂路(800m)で1本
ペース週3日はハロン17秒のキャンター、週1日はハロン15秒のキャンターで登坂
馬体重532kg
今後「来週中には栗東トレセンへの入厩を予定」
キーファーズの会員向けレポートより。この「17秒/15秒」という数字が読み方の鍵になります。

ポイントはハロン15秒が週1回入っていることです。これはペースアップ段階のサインで、実際この記述の翌週に帰厩予定と書かれています。近況に出てくるハロンタイムは、帰厩時期を推測する手がかりになります。

帰厩から出走まで何日か|制度と実データ

JRAの「10日ルール」

まず制度の話です。JRAの競馬施行規程により、出走するにはトレセンに一定期間在厩している必要があります。

区分必要なトレセン継続在厩日数根拠
既走馬10日間競馬施行規程 第91条
未走馬(初出走)15日間+発走審査合格第80条・第90条
施設外からの入厩入厩検疫が必須—
JRA馬主向けFAQより。この10日という数字が、現代の外厩活用の制度的な土台になっています。

「レースの10日前までに帰厩すれば出走できる」——これが「外厩でほぼ仕上げ、トレセンは最終調整だけ」という現在のスタイルを可能にしています。栗東まで30〜40分のしがらきは、理屈のうえでは直前まで馬を置けます。

ところが実際は「2〜4週間前」が主流

では実際にみんな10日前ギリギリまで置いているのかというと、そうではありません。外厩データを集計したデータによれば、しがらきから帰厩した馬が13日以内に出走する割合はわずか5.3%です。

外厩施設帰厩後13日以内に出走する割合
大山ヒルズ15.2%
チャンピオンヒルズ9.2%
ノーザンファームしがらき5.3%
ノーザンファーム天栄3.3%
山元トレーニングセンター1.7%
2021年7月〜2026年8月、239,727走・348施設を対象とした集計より。

2026年の実例を見ても、宝塚記念に出たしがらき勢(クロワデュノール、シンエンペラー、ビザンチンドリームほか)の帰厩はレースの2〜4週間前。オークスに向かったスターアニスも約3週間前の5月1日に帰厩しています。

つまり「近いから直前まで置ける」は制度的には正しいが、実務ではそうしていない。近況で「来週トレセンへ」と出たら、レースはおおむねその2〜3週間後と見るのが現実的です。

しがらきを使った主な活躍馬

2025〜2026年|クラシックを席巻

年馬名主な実績
2026ロブチェン皐月賞・日本ダービー(2025年ホープフルS)
2026クロワデュノール大阪杯・天皇賞(春)(2025年 日本ダービー)
2026スターアニス桜花賞(2025年 阪神JF)
2025ミュージアムマイル皐月賞・有馬記念
2025カヴァレリッツォ朝日杯フューチュリティS
2025ダブルハートボンドチャンピオンズC
2024シンエンペラージャパンC 2着
Winsightのレース別外厩リストで個別に確認できたもの。2026年は牡馬クラシック二冠と古馬王道二冠をしがらき勢が制しました。

2026年は異常な年でした。皐月賞・日本ダービーのロブチェン、大阪杯・天皇賞(春)のクロワデュノール、桜花賞のスターアニス。春の主要タイトルの多くがしがらき経由の馬です。

さらに2025年の凱旋門賞には、しがらきからクロワデュノールとビザンチンドリームの2頭が送り出されました。松本場長はこれを「13年前の悪夢からの〝集大成〟」と表現しています。13年前——2012年にオルフェーヴルが2着に敗れたレースのことです。そのオルフェーヴルも、しがらきを使った馬でした。

歴代の代表馬

年馬名主な実績
2011オルフェーヴルクラシック三冠
2012ジェンティルドンナ牝馬三冠
2020–21クロノジェネシス宝塚記念連覇
2021ソダシ桜花賞
2022ドウデュース日本ダービー
2022ヴェラアズールジャパンC
2023リバティアイランド牝馬三冠
2023タスティエーラ日本ダービー
2023ジャスティンパレス天皇賞(春)
2010年の開場から、しがらきは一貫してクラシック級を送り出してきました。

なおイクイノックスはしがらきではありません。一部メディアに「しがらき」と書かれたものがありますが、イクイノックスの外厩はノーザンファーム天栄です(デビュー前の育成はノーザンファーム早来)。よくある混同なので注意してください。

データで見るノーザンファームしがらき

利用件数は全国2位

外厩の利用実績を集計したデータ(2021年7月〜2026年8月、239,727走・348施設)によると、しがらきは全国2位です。

順位施設所在利用件数
1チャンピオンヒルズ滋賀県大津市18,818
2ノーザンファームしがらき滋賀県甲賀市18,526
3宇治田原優駿ステーブル京都府宇治田原町13,049
4ノーザンファーム天栄福島県天栄村12,775
5山元トレーニングセンター宮城県山元町11,848
上位10施設で全体の51.3%を占めます。1位チャンピオンヒルズとの差はわずか292件です。

2024年のGIでの成績(1–2–3着の度数)を見ると、しがらきは4-3-4。天栄の4-6-1、チャンピオンヒルズの4-2-2と並ぶ水準です。

ただし「しがらき帰り=買い」ではありません

ここは正直に書いておきます。外厩帰りの馬が、在厩を続けた馬より走るというデータはありません。

人気在厩継続の複勝率外厩帰りの複勝率
1番人気66.6%65.7%
2〜3番人気48.5%46.4%
4〜6番人気27.9%27.7%
外厩帰りはむしろ人気上位でわずかに下回ります。5つの切り口で検証して、複勝回収率100%を超える指標は一つも見つかっていません(最高80%台)。

外厩が普及した最大の理由は、馬券的な効果ではなく厩舎の経営効率です。トレセンの馬房数には限りがあります。外厩に馬を預けることで、限られた馬房でより多くの馬を管理できる。それが本質です。

ですから「しがらき帰りだから買い」という短絡は成立しません。意味があるのは、しがらきという施設の名前ではなく、そこで何をしてきたか(調教内容)と、いつ帰厩したかのほうです。

一口馬主のための「しがらき在厩」の読み方

近況報告のフレーズ別・翻訳表

クラブの近況報告は在厩先を明記します。「ノーザンファームしがらき在厩」「しがらきへ移動」といった表記がそのまま出てくるので、あとは調教内容から段階を読むだけです。

近況の記述意味するもの出走までの距離感
「周回コースのみ」「ウォーキングマシン中心」休養フェーズまだ先
「坂路1本、ハロン17〜18秒」基礎体力づくり1か月以上先
「ハロン15秒のキャンターを週1回」ペースアップ段階=帰厩が近い数週間
「ハロン14秒台」仕上げの最終段階近い
「来週中にトレセン入厩を予定」帰厩直前おおむね2〜3週間後
「放牧」単なる休養ではなく積極的なトレーニング期間を含む記述だけでは判断できない
ドウデュースの実例(ハロン15秒の週1回→翌週帰厩予定)と、帰厩後13日以内出走が5.3%というデータから逆算した目安です。

とくに大事なのは最後の行です。「放牧」=休んでいる、ではありません。しがらきでの「放牧」は、坂路を登りながらの積極的な調整を含みます。ここを取り違えると、近況を読んでも状態が分かりません。

「しがらきに行った=順調」ではない

もうひとつ注意点を。故障明けのリハビリ滞在も、順調な馬の調整も、同じ「しがらき在厩」と表記されます。施設名だけでは何も分かりません。必ず調教内容(坂路の本数とハロンタイム)とセットで読むこと。これが実務的な結論です。

見学制度

項目内容
対象クラブ会員
枠1日1組限定/最大3頭まで(他クラブの馬を含めてよい)
時間15:30前後から
厩舎での観察約10分
実例キャロットクラブ枠は火・木・金・土の15:30開始(2025年7月時点)
除外日年末年始と牧場行事日
運用は変わることがあります。最新の条件は各クラブの公式案内でご確認ください。

ノーザンファーム天栄との違い

しがらきとセットで語られるのが、福島県のノーザンファーム天栄です。要点だけ並べます。

項目しがらき天栄
所在地滋賀県甲賀市信楽町福島県岩瀬郡天栄村
開場2010年秋2011年
担当トレセン栗東(約25km・30〜40分)美浦(約230km・約3〜4時間)
収容14厩舎410馬房12厩舎365馬房
坂路800m・ニューポリトラック・高低差39.7m900m・ポリトラック・高低差約36m
周回900m(ニューポリトラック)1,200m(ダート・ウッドチップ併用)
特殊設備—輸出検疫厩舎(2016年開設・国内民間唯一)
帰厩後13日以内の出走率5.3%3.3%
仕上げの思想栗東至近を生かして柔軟に調整230km離れているため、ほぼ仕上げてから送り出す
坂路の素材が違う点は混同されがちです。しがらきがニューポリトラック、天栄がポリトラックです。

構造的な違いは距離です。天栄は美浦まで約230km・3〜4時間かかるため、レース10日前ごろまでに仕上げてから送り出す必要があります。これが「天栄仕上げ」と呼ばれる所以です。一方しがらきは30〜40分。理屈のうえでは直前まで置けます。

より詳しい比較はノーザンファーム天栄としがらきの違いに、天栄そのものについてはノーザンファーム天栄とはにまとめています。

よくある質問

Q. ノーザンファームしがらきは見学できますか

A. クラブ会員向けの見学制度があります。1日1組限定、最大3頭まで(他クラブの馬を含めてよい)、15:30前後から、厩舎での観察は約10分。一般の見学は受け付けていません。

Q. 「しがらき在厩」と書かれていたら、次走はいつごろですか

A. 調教内容によります。「周回のみ」「ウォーキングマシン中心」ならまだ先。「ハロン15秒のキャンターを週1回」まで来ていれば帰厩が近く、「来週トレセンへ」と出たらレースはおおむねその2〜3週間後です。帰厩後13日以内に出走する馬は5.3%しかいません。

Q. 天栄としがらき、どちらが「上」ですか

A. 上下はありません。担当するトレセンが違うだけです。ノーザンファーム生産の栗東所属馬はしがらき、美浦所属馬は天栄、というのが原則です。ただし美浦所属でもしがらきを使う馬(堀宣行厩舎など)はいます。

Q. しがらき帰りの馬は馬券で買えますか

A. 施設名だけを理由に買うのは勧めません。外厩帰りの複勝率は在厩継続の馬とほぼ同じ(1番人気で65.7%対66.6%)で、回収率100%を超える切り口は見つかっていません。見るべきは施設名ではなく調教内容と帰厩時期です。

Q. 坂路の素材は何ですか

A. ニューポリトラックです(屋外800m直線)。天栄の坂路はポリトラック、早来と空港はウッドチップで、施設ごとに異なります。一部で周回コースを「タペタ」と紹介する資料がありますが、ノーザンファーム公式は「ニューポリトラック」と記載しています。

まとめ

  • ノーザンファームしがらきは、滋賀県甲賀市信楽町にあるノーザンファームの外厩施設。2010年秋に開場し、調教14厩舎410馬房、スタッフ約150人。場長は開場以来ずっと松本康宏氏です。
  • 主役は屋外800m直線・ニューポリトラックの坂路(高低差39.7m)。1,085mで32m登る栗東坂路より短くきつく、「トレセン以上の負荷をかけられる」と言われる根拠になっています。
  • 立地の価値は栗東まで約25km・30〜40分という近さと、涼しさ。信楽は大津より月平均で2〜3℃低く、関係者は「3〜5度低い」と表現します。
  • 行くのは原則ノーザンファーム生産×栗東所属の馬。クラブは問いません。ただし美浦所属でもしがらきを使う馬はいます(堀宣行厩舎など)。デビュー前の2歳馬も在厩します。
  • 帰厩から出走までは「2〜4週間前」が主流。JRAの規程上は10日前でも出走できますが、しがらきから帰厩して13日以内に出走する馬は5.3%しかいません。
  • 2026年はロブチェン(皐月賞・ダービー)、クロワデュノール(大阪杯・天皇賞春)、スターアニス(桜花賞)とクラシック級を量産。過去にもオルフェーヴル、ジェンティルドンナ、ドウデュース、リバティアイランドを送り出しています。
  • 利用件数は全国2位(18,526件)で、1位チャンピオンヒルズとの差はわずか292件です。
  • ただし「しがらき帰り=買い」ではありません。外厩帰りの複勝率は在厩継続とほぼ同じで、回収率100%超の切り口は見つかっていません。外厩の本質は馬券ではなく厩舎の経営効率です。
  • 一口馬主として見るべきは施設名ではなく調教内容と帰厩時期。「ハロン15秒のキャンターを週1回」まで来ていれば帰厩が近く、「来週トレセンへ」ならレースはおおむね2〜3週間後です。
  • イクイノックスはしがらきではなく天栄です(育成は早来)。一部メディアに誤記があるので注意してください。

この記事で「未確認」としている項目

  • 坂路の最大勾配8%——ノーザンファーム公式には記載がなく、二次情報にもとづく数値です。
  • プール・トレッドミル・屋内馬場・診療所の有無——公式・見学記・取材記事のいずれにも記載を確認できませんでした。
  • 施設そのものの標高——本文の265mは最寄りの信楽アメダスの標高で、施設の実標高ではありません。
  • 370馬房→410馬房への増設時期——2019年ごろの資料は13厩舎370馬房、現在の公式は14厩舎410馬房ですが、増設時期は公表資料で確認できませんでした。
  • 周回コースの素材——公式は「ニューポリトラック」、一部資料は「タペタ」。本記事は公式を採用しています。
  • 信楽が選ばれた理由の一次情報——「栗東に近い」「冷涼」以上の踏み込んだ経緯(土地選定の判断)は確認できませんでした。
  • ノーザンファーム生産以外の馬の受け入れの有無。

更新履歴

  • 2026年9月22日:新規公開。ノーザンファーム公式の施設紹介・採用サイト、JRA競馬施行規程、netkeibaの潜入取材、外厩データの集計をもとに、設備・運用・帰厩の実データ・活躍馬・近況の読み方までをまとめました。

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