一口馬主の競走馬保険と見舞金|クラブ別の加入率・特約・分配ルール比較【出資後ガイド③】

募集馬見学ツアー

出資馬が故障したとき、出資者の手元に「いくら戻るのか」は、実はクラブごとにかなり違います。競走馬保険の加入率、特約の有無、JRAの見舞金にクラブ手数料がかかるかどうか、分配が月次なのか引退精算なのか。募集時のカタログにはほとんど書かれていない一方で、規約(契約締結前交付書面)にはきちんと書いてあります。

この記事は出資後ガイドの3本目として、主要17クラブの規約・費用ページを一次情報として読み比べ、①競走馬保険の仕組み ②クラブ別の加入率・料率・特約 ③JRA見舞金・抹消給付金の分配ルール ④実際にいくら戻るかの試算をまとめました。確認日は2026年9月26日、規約はいずれも各クラブ公式サイトの最新版です。

前回の疾病・故障ガイドで「見舞金は骨折なら420万円、屈腱炎なら365万円」と書きましたが、それが出資者の口座にどう届くかがこの記事のテーマです。

この記事でわかること

  • 頓挫時のお金の3本柱:民間の競走馬保険/JRA事故見舞金・疾病見舞金/抹消給付金の役割分担
  • 競走馬保険の基本設計(加入額は年齢で逓減、料率年3〜3.8%、死亡100%・能力喪失20%・未出走50%など)
  • 主要17クラブの加入率・料率・加入上限・特約の比較表
  • JRA見舞金にクラブ手数料がかかるか、分配が月次か引退精算か
  • 募集4,000万円・500口の馬で、骨折・屈腱炎・未出走引退・予後不良のとき1口いくら戻るかの試算
  • 保険が手厚いクラブ/軽いクラブの違いと、出資者としての見方

頓挫時のお金は3本柱|誰が誰に払うのか

まず構造から。一口馬主クラブは「愛馬会法人(出資者と匿名組合契約を結ぶ)」と「クラブ法人(JRA馬主として馬を所有する)」の2社構造で、出資者が受け取るお金はすべてクラブ法人→愛馬会法人→出資者の順に流れます。頓挫に関係するお金は次の3種類です。

お金の種類支払う側対象出資者への分配
① 競走馬保険(民間損保)保険会社(東京海上日動・三井住友海上など)。保険料は出資者が「保険出資金」として負担死亡・安楽死、競走能力喪失、未出走引退、手術、屈腱炎(特約)。JRA施設外(育成場・外厩)でも対象保険金を出資口数で按分。多くのクラブで営業者報酬(手数料)なし
② JRA事故見舞金・疾病見舞金中央競馬馬主相互会(JRAの馬主団体)JRA施設内での競走中・調教中・輸送中の事故(骨折・脱臼・外傷・腱断裂)と、施設内で発生した疾病(屈腱炎・骨瘤・鼻出血など)出資口数で按分。ほぼ全クラブで手数料なし
③ 抹消給付金・付加金中央競馬馬主相互会JRA登録抹消(引退)時。出走回数と年齢・時期で45〜245万円。施設在厩60日未満は不支給引退精算の一部として分配
頓挫時に発生するお金の3本柱

ポイントは①と②が補完関係にあること。JRAの見舞金は「JRAの施設内」が条件なので、育成場や外厩で骨折・競走能力喪失になった馬には出ません。その穴を埋めるのが民間の競走馬保険で、シルクの規約にも「入厩前の牧場育成時においての競走能力喪失や手術などについても、本保険で補償」と明記されています。

競走馬保険の基本設計

各クラブの規約を並べると、保険の設計はほぼ共通のテンプレートに乗っています。違いは「率」と「特約の有無」です。

保険料の決まり方

項目標準的な設計
加入時期原則2歳1月1日から(運用開始と同時)
保険加入額2歳:募集価格の100%/3歳:70%/4歳以上:50%(重賞勝ち馬は100%に戻す規定が多い)
料率加入額の年3.0〜3.8%(クラブ・年度で変動。2026年はシルク3.0%、東サラ・ロード・ノルマンディー・広尾3.2%、DMM3.8%)
支払い年1回、12月頃に翌年分を「保険出資金」として口数按分で請求
加入上限引退まで(サンデー・シルク・キャロットなど)/5歳未満まで(ロード)/4歳まで(ラフィアン・京都)/3歳まで(YGG)/原則非加入(ウイン)
競走馬保険の標準設計

たとえば募集4,000万円・500口(1口8万円)の馬なら、2歳は4,000万円×3%=120万円→1口2,400円/年、3歳は2,800万円×3%=84万円→1,680円、4歳は2,000万円×3%=60万円→1,200円。月会費や維持費に比べれば小さい負担ですが、加入額が年々下がる=古馬になるほど補償も薄くなることは覚えておく価値があります。

保険金が出る条件(主契約と特約)

給付事由標準的な給付額補足
死亡・安楽死(事故・疾病とも)加入額の100%主契約。保険会社指定の獣医師が認定した安楽死も対象
競走能力喪失の診断加入額の20%(ロード・ノルマンディーは10%)特約。骨折等で「もう走れない」と診断されたとき
未出走馬の競走能力喪失で、JRA3・4号見舞金に該当しない加入額の50%特約。育成場・外厩で故障した未出走馬の救済。出資者にとって実はいちばん大きい
未出走引退(傷病で一度も出走できず)加入額の20%特約
全身麻酔を伴う外科手術手術代金相当額(加入額の3%が上限)特約。入院費・後治療は対象外が多い。広尾は300万円限度
初めての屈腱炎加入額の5%(50万円上限)特約。広尾・ユニオン・YGGは20%(損傷率25%以上・9か月以上出走不可が条件)
障害競走当日限度200万円など特約または対象外
主契約と特約の標準的な内容(シルク・サンデー系・キャロット・DMM等の規約より)

クラブ別比較①|口数・維持費・保険の加入率と料率

各クラブの規約・費用ページ(2025〜2026年版)から拾った数値です。加入率は「2歳/3歳/4歳/5歳〜」の順、料率は最新年度の記載値。維持費は「1頭あたり月額」で、固定制と実費変動制があります。

クラブ募集口数維持費(1頭/月)保険加入率 2歳/3歳/4歳/5歳〜料率(年)加入上限
シルク500口実費変動(治療費含む)100/70/50/50%(平地重賞勝ちは100%)3.0%引退まで(牝馬6歳3月末)
サンデー・社台・G140口初回金100万円+実費変動(目安:放牧42〜44万、TC在厩70〜110万)100/70/50/50%(G1〜G3勝ちで100%)3%引退まで
キャロット400口実費変動(目安:放牧約1,000円/口、TC1,500〜2,000円/口)100/70/50/50%(重賞勝ちで100%)3%引退まで
東京TC400口60万円固定(1,500円/口)。治療費・手術代含む100/70/70/60%(6歳〜50%)3.2%引退まで
ロード500口70万円固定(1,400円/口)100/70/50/非加入(G3以上勝ちで100%)3.2%原則5歳未満
ノルマンディー100〜500口初回金70万円+実費変動100/70/50/50%(G3以上で100%)3.2%引退まで
広尾1,000〜6,000口60万円固定(100〜600円/口)100/70/50/更新なし3.2%5歳1/1以降更新なし
インゼル500口初回金100万円+実費変動2歳100%、以降年齢変動制約3%引退まで(牝馬6歳3月末)
DMMバヌーシー400〜40,000口中央70万/地方50万円目安100/70/50/50%(G1勝ちで100%)。地方登録馬は非加入3.8%引退まで
ユニオン馬ごとJRA60万/NAR50万円固定100/100/70/70%3.0%年度更新(上限未記載)
ラフィアン100口・50口初回預り金80万円+実費変動70/50/30%、5歳〜非加入(死亡のみ)3.0%4歳まで
ウイン400口初回預り金100万円+実費変動原則加入しない(2024年産〜)——
YGG40〜10,000口実費変動2〜3歳100%、4歳〜非加入中央4.4%/地方4.0%3歳まで
ターファイト100〜1,000口JRA60万/南関東40万/道営30万円固定2〜3歳100%、4〜5歳70%、6歳〜非加入(死亡のみ)JRA約3.2%/南関東約4.8%5歳まで
京都TC馬ごとJRA60万/NAR45万円固定100/70/50/更新なし3.05%4歳まで
各クラブ規約・費用ページより(確認日2026年9月26日)。維持費の「実費変動」は毎月の実費を口数按分

ここで目を引くのはラフィアンとウイン。ラフィアンは死亡保険のみで加入率も70/50/30%と低く、ウインは2024年産以降「原則として保険に加入しない」と規約に明記しています。保険料負担が軽い代わりに、頓挫時に戻るお金も少ない設計です。逆に東京TCは4歳70%・5歳60%と加入率の下がり方が緩やかで、古馬まで補償が残ります。

クラブ別比較②|特約の違い(能力喪失・手術・屈腱炎)

クラブ競走能力喪失未出走+JRA3・4号非該当手術特約屈腱炎特約分配時期
シルク20%50%3%上限(当日分のみ)5%(50万上限・初発のみ)月次
サンデー・社台・G120%50%3%上限(年度合計)5%(50万上限)受領翌月末
キャロット20%50%3%上限5%(50万上限)都度
東京TC20%50%なしなし引退精算
ロード10%50%記載なし記載なし引退精算
ノルマンディー10%50%記載なし記載なし引退精算
広尾20%50%3%(300万円限度)20%(損傷率25%以上・9か月以上)年次または運用終了時
DMM20%50%3%(年度限度)5%(50万上限)都度または引退精算
ユニオン20%50%3%(300万超は除外)20%(損傷率25%以上)引退精算
ラフィアン—(死亡のみ)—なしなし引退精算
YGG20%50%なし20%(初発・損傷率25%以上・9か月以上)月次/年次/引退精算
ターファイト—(死亡のみ)50%なしなし引退時精算
京都TC20%—3%限度5%(50万限度)原則6月末
インゼル別紙約款(数値非公開)未確認ありあり運用終了精算
各クラブ規約より。%はいずれも「保険加入額」に対する割合

前回の記事で「屈腱炎は復帰率19%」と書きましたが、その屈腱炎に対する特約は5%・50万円上限が標準で、広尾・ユニオン・YGGだけが20%です。募集4,000万円の3歳馬(加入額2,800万円)なら、標準クラブで50万円、広尾なら560万円。出資者への戻りが10倍以上違うので、屈腱炎リスクを重く見る人には無視できない差です。

もうひとつ、東京TC・ロード・ノルマンディーは手術特約と屈腱炎特約がない(または規約に記載がない)点も押さえておきたいところ。東京TCは維持費に手術代金を含めているので「特約の代わりに維持費で吸収」という設計だと読めます。

クラブ別比較③|JRA見舞金・抹消給付金に手数料はかかるか

賞金にはどのクラブも「営業者報酬」(3〜5%)がかかりますが、事故見舞金・保険金は手数料の対象外としているクラブがほとんどです。シルクの規約は「特別出走手当及びその他事故見舞金等収入について、営業者報酬はありません」と明記しています。違いが出るのは分配の「時期」です。

クラブ営業者報酬(賞金)見舞金・保険金への手数料見舞金の分配時期引退時の主な精算項目
シルク3%なし月次(翌月27日)抹消給付金+売却代金+保険金+解約返戻金。牝馬は募集価額の10%で買戻し
サンデー・社台・G13%なし受領翌月末同上(種牡馬売却は純利益500万円超に10〜40%累進)
キャロット3%なし都度同上
東京TC5%(規約PDFより・要確認)なし(診療費・装蹄費補助金はクラブの受領権)引退精算売却代金の40%が営業者報酬。牝馬は無償返還
ロードクラブ1.5%+愛馬会1.5%なし引退時(引退月の翌々月25日)種牡馬売却は40%控除。牝馬10%買戻し
ノルマンディー5%なし月次売却手数料5%。牝馬10%買戻し
広尾5%なし引退分は翌々月種牡馬売却40%。牝馬は5%買戻し
インゼルクラブ2%+愛馬会3%なし月次純利益500万円超10〜40%。牝馬10%買戻し
DMM3%なし都度(受領後7営業日以内)牝馬10%でグループ会社へ
ユニオン3%明記なし引退精算時にまとめて(引退月から3か月後)牝馬10%買戻し
ラフィアン2%(重賞4%)なし(賞金のみに定義)月次(翌月20日)牝馬10%買戻し(能力喪失見舞金が10%相当以上なら無償譲渡)
ウインクラブ3%+愛馬会2%明文なし(要確認)翌月25日種牡馬売却は利益の40%。牝馬10%
YGG3%なし月次牝馬5%買戻し
ターファイト3%なし翌月末種牡馬取引額の60%。牝馬5%。未勝利馬の地方売却は一律20万円
京都TC3%報酬対象外月次種牡馬40%。牝馬5%またはオークション価格の高い方
各クラブ規約より。引退精算の詳細は出資後ガイド④で扱っています

出資者目線で大事なのは、ロードとユニオンは見舞金が引退時まで手元に来ないこと。3歳で骨折して9か月休養→395万円の見舞金が確定しても、その馬が5歳で引退するまで分配されません。維持費は毎月払い続けるので、「見舞金で維持費を相殺したい」という使い方はできない設計です。

試算|募集4,000万円・500口の馬が頓挫したら1口いくら戻るか

数字を具体的にします。モデルは募集価格4,000万円・500口(1口8万円)、保険は標準設計(100/70/50%、死亡100%・能力喪失20%・未出走50%・屈腱炎5%で50万円上限)、見舞金は2026年度の額です。分配はいずれも手数料なしの前提。

ケースJRA見舞金競走馬保険合計1口あたり出資8万円に対して
A:3歳春、レース中に腕節骨折→9か月休養後に復帰7号 395万円—(復帰したので主契約・特約とも対象外)395万円7,900円約10%
B:3歳秋、施設内で屈腱炎→9か月以上出走不能18号 365万円屈腱炎特約 2,800万円×5%=140万円→上限50万円415万円8,300円約10%
C:2歳、育成場で骨折→未出走のまま競走能力喪失なし(JRA施設外)未出走+3・4号非該当 4,000万円×50%=2,000万円2,000万円40,000円約50%
D:3歳、JRA施設内で骨折→競走能力喪失(出走歴あり)3号 670万円能力喪失 2,800万円×20%=560万円1,230万円24,600円約31%
E:4歳、レース中に予後不良1号 705万円死亡 2,000万円×100%(加入額50%)2,705万円54,100円約68%
F:5歳、放牧先で疝痛(変位疝)により死亡なし(JRA施設外)死亡 2,000万円×100%2,000万円40,000円約50%
標準的な規約での試算。抹消給付金(在厩60日以上で45〜245万円)は別途

この表からわかることを3つ。

  • 「復帰できる頓挫」で戻るのは1口1万円弱。ケースA・Bは維持費数か月分に相当する程度で、「元が取れる」話ではまったくない。前回の記事で書いたとおり、見舞金は維持費の一部が戻る制度
  • 「走れなくなる頓挫」では保険が主役になる。ケースC〜Fで戻る額の大半は保険金。特に未出走馬の50%特約(ケースC)は、募集価格の半分が戻る唯一の仕組み
  • 年齢が上がるほど戻りは減る。ケースEで死亡保険金が2,000万円なのは4歳の加入額が50%だから。同じ予後不良でも2歳なら4,000万円+705万円で1口9.4万円と、出資額を超える

40口クラブで同じことをすると桁が変わります。サンデーの募集1億円・40口(1口250万円)の馬がケースAなら395万円÷40=98,750円、ケースCなら5,000万円÷40=125万円。金額は大きいですが出資額に対する比率は同じなので、「40口は頓挫したときのダメージが大きい」と感じるのは絶対額の話です。

地方転籍・障害転向のときの保険

中央で勝ち上がれず地方へ転籍したり、障害競走に転向したりすると、保険の扱いが変わるクラブがあります。規約に記載のあるものだけ挙げます。

クラブ地方転籍・障害転向時の扱い
DMM中央→地方転籍で保険解約。地方登録馬は原則非加入。維持費は保険料を除き変更なし
YGG転籍時に保険解約、中央再登録時も再加入なし。地方馬は料率4.0%で別契約、屈腱炎特約なし
ターファイト南関東以外の地方転籍・障害転向で保険解約。維持費は南関東40万/道営30万円に変更
ユニオン中央→地方で維持費50万円(一部40万円)に減額。保険は継続
ロード未勝利馬は地方馬主(クラブ法人役員)に売却→中央再登録後の再出資は牡10万円/牝は募集総額の10%。保険は再加入なし
広尾障害転向でも原則中途解約しない(障害飛越起因の事故は対象外の特約あり)
シルク・サンデー系・キャロット・ノルマンディー・インゼル「地方競馬の賞金体系に準拠し本規約に従って分配」「維持費・分配は継続」。保険の個別変更規定は確認できず
各クラブ規約より

出資者としての見方|保険が手厚いクラブ・軽いクラブ

比較してみると、クラブの保険設計は大きく3タイプに分かれます。どれが正解というより、「自分が何を怖いと思っているか」で選ぶものだと思います。

タイプクラブ特徴向いている人
手厚い広尾、ユニオン、YGG(3歳まで)屈腱炎特約20%、広尾は手術300万円限度。東京TCは古馬まで加入率が高い1頭あたりの出資額が大きい、屈腱炎リスクを重く見る
標準シルク、サンデー系、キャロット、ノルマンディー、DMM、インゼル、京都死亡100%・能力喪失20%(ロード・ノルマンディーは10%)・未出走50%・屈腱炎5%/50万円多頭出資でリスク分散する人。保険料負担と補償のバランス型
軽いラフィアン、ウイン、ターファイト死亡保険のみ、または原則非加入。加入率も低い保険料を払わず維持費を抑えたい、頓挫時の戻りは期待しない
保険設計の3タイプ

私自身はシルク・サンデー・インゼルなので「標準」に寄っていますが、規約を読み比べて認識が変わったのは「保険は頓挫の慰めではなく、未出走引退のときの元本の半分を守る制度」だということ。ケースCの50%特約があるから、育成段階で故障しても出資額の半分は戻る。逆に言えばデビュー後の頓挫では、保険も見舞金も出資額の1割程度しか戻らないので、出資後のリスク管理は「保険で守る」より「頭数で分散する」しかないというのが私の結論です。

よくある質問

Q. 保険料はいくらくらい払うのですか?

募集価格×加入率×料率÷口数です。募集4,000万円・500口・料率3%なら2歳2,400円、3歳1,680円、4歳1,200円(年額・1口)。40口クラブで募集1億円なら2歳7万5,000円、3歳5万2,500円になります。12月頃に翌年分をまとめて請求されるクラブが多いです。

Q. 育成場や外厩で骨折した場合、見舞金は出ますか?

JRAの事故見舞金は「JRAの施設内」での事故が条件なので出ません。代わりに競走馬保険の特約(未出走馬で競走能力喪失なら加入額の50%、出走歴があれば20%、手術なら加入額3%を上限に手術代金)が対象になります。これが民間保険に入る最大の理由です。

Q. 見舞金やお金が戻るのはいつですか?

クラブによります。シルク・キャロット・ノルマンディー・DMM・YGGなどは受領の翌月に月次で分配、サンデー系は受領翌月末、ロード・東京TC・ユニオンは引退時の精算にまとめて分配です。JRAの見舞金自体も「休養加療期間の経過後または支給金額の確定時点」で支給されるので、事故から半年〜1年後になることもあります。

Q. 見舞金にクラブの手数料はかかりますか?

主要クラブはいずれも「営業者報酬は賞金に対してのみ」で、事故見舞金・保険金は対象外と規約に書いています(シルク・サンデー系・キャロット・ロード・ノルマンディー・DMM・YGG・京都など)。ウインは規約の文言が包括的で明文がなく、東京TCは診療費・装蹄費補助金をクラブの受領権としています。

Q. 屈腱炎になったら保険はいくら出ますか?

標準的なクラブでは「初めて屈腱炎と診断されたとき、加入額の5%・50万円上限」です。広尾・ユニオン・YGGは損傷率25%以上・9か月以上出走不可を条件に加入額の20%。あわせてJRA施設内での発症なら疾病見舞金18号(9か月以上出走不能で365万円)が出ます。

Q. 保険に入らないクラブは損ですか?

一概には言えません。ウイン(原則非加入)やラフィアン(死亡のみ・低加入率)は保険料の分だけ維持費が軽く、多頭出資で分散する前提なら合理的です。ただし未出走のまま故障した場合に出資額の半分が戻る仕組みがないので、1頭あたりの出資額が大きい人には向きません。

まとめ

  • 頓挫時のお金は民間の競走馬保険(施設外もカバー)/JRA事故・疾病見舞金(施設内のみ)/抹消給付金(引退時)の3本柱
  • 保険は加入額が2歳100%→3歳70%→4歳50%と逓減。料率は年3〜3.8%で、1口あたり年1,000〜3,000円程度(500口の場合)
  • 標準的な給付は死亡100%・能力喪失20%・未出走50%・屈腱炎5%(50万円上限)。広尾・ユニオン・YGGの屈腱炎20%、ロード・ノルマンディーの能力喪失10%が主な差
  • 見舞金・保険金への手数料はほぼ全クラブでなし。ただしロード・ユニオン・東京TCは引退精算まで分配されない
  • 復帰できる頓挫で戻るのは出資額の1割程度。走れなくなる頓挫で戻るのは3〜7割で、その大半は保険金
  • 出資後のリスク管理は「保険で守る」より「頭数で分散する」

続きは出資馬が引退したら|抹消給付金・牝馬買戻し・地方転籍の精算ルール(出資後ガイド④)で、引退時の精算——抹消給付金、牝馬の買戻し特約、種牡馬入り時の手数料、地方転籍——をクラブ別に扱っています。

この記事で「未確認」としている項目

  • 東京TCの営業者報酬5%と現役馬売却時の40%控除(規約PDFが画像形式のため、要現物確認)
  • インゼルの保険給付割合・特約の数値(規約の「別紙2」参照で本文に記載なし)
  • ウインの見舞金・抹消給付金に愛馬会法人手数料が適用されるか(規約文言が包括的)
  • ユニオンの保険加入上限年齢、京都TCの募集口数と治療費の維持費算入(ページ間で記載が矛盾)
  • 保険会社側の料率・免責期間・年齢制限の公式数値(個別引受のため非公開)
  • JRA公式サイトには見舞金・抹消給付金の金額表がなく、各クラブ掲載の2026年度表で代替(相互会規程原本は未確認)
  • 表中の数値は2025〜2026年版規約の記載で、年度改定があるため申込時点の規約で要確認

更新履歴

  • 2026年9月26日:初版公開

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